「ふと水槽や飼育容器をのぞいたらメダカが死んでいた」という経験はありませんか?
なにかしてしまったわけでもなく、死んでしまった原因がわからない…。
初心者の方が直面しやすい問題ですが原因がわからないと、他のメダカも死んでしまわないかと不安になることも少なくありません。
そこで今回は、メダカが死んでしまう12の原因と対策をご紹介します。
死んでしまった原因がわかれば同じ失敗を防げるだけでなく、予防にもつながります。
目次
メダカが死んでしまう12の原因と対策
メダカ死んでしまう原因を12個にまとめて、対策付きでご紹介します。
対策には難しい技術や飼育用品は必要なく、簡単に実践できることです。
同じ失敗でメダカを死なせてしまうことがなくなるだけでなく、未然に防ぐことにもつながるので、チェックリストとしても目を通してみてください。
水質悪化
メダカは水質に敏感な魚ではありませんが、過度に水質が悪化していると体調不良につながり死んでしまうことがあります。
- 水換えをしない
- 餌の量が多い
- 水槽や飼育容器に合わない数のメダカを入れている
といった環境では水が汚れやすいです。
水質悪化は目で見てもわかりにくいですが、
- 明らかに水が濁っている
- 餌の食べ残しが底にたまっている
- 水から嫌な臭いがする
- メダカの動きが鈍い
など、一目見て「おかしい」と判断できる状況では、メダカに影響がでていることも少なくありません。
対策:定期的に水換えする
水質悪化の一番の対策は「定期的な水換え」です。
飼育環境にもよりますが、「2週間~1ヶ月に1回」が目安です。ただし、明らかに水質が悪化している場合は、その場で水換えしたほうが良いです。
メダカの水槽や飼育容器の水換え方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫メダカの水換えは1ヶ月に何回がベスト?理想の水換え方法と頻度・水量を解説!
耐えがたい高水温
メダカは高水温に耐性がある魚ですが、限度があります。
- 30℃以下:問題ない
- 30~35℃:対策が必要
- 35~40℃:危険
30℃を超えたあたりから危険信号で、35℃を超えて40℃に近付くと死んでしまう個体もでてきます。
対策:すだれや水槽用冷却ファンなどを活用する
屋外飼育では、すだれやフタで日差しを遮る方法がおすすめです。
日陰を作るだけで水温が大きく変わりますし、すだれは通気性も確保できます。
室内飼育では日差しの影響が少ないので、直接水温を下げられる「水槽用冷却ファン」が効果的です。
水温は急に下げられないため、上昇することを見越して30℃になった時点で高水温対策しましょう。
メダカ飼育の高水温対策は、こちらの記事をご覧ください。
≫夏のメダカ飼育と高水温・暑さ対策5選!水温を効率よく下げる方法
低水温や飼育水の凍結
メダカは日本の水辺にも生息しているほどなので、冬の低水温(5℃程度)も耐えられますが、
- やせて体力がない
- 大きさが1cm以下の稚魚
といった個体は、寒さで消耗して死んでしまうことがあります。
また、いくら耐性があるとはいえ飼育水が凍結してしまうと生き残れません。
対策:フタの設置・発泡スチロール製の飼育容器で保温する
屋外飼育では、フタをして水面から冷気が入るのを防ぎます。
低水温だけでなく凍結対策としても効果的です。また、保温効果の高い発泡スチロール製の飼育容器を使う方法もおすすめです。
屋外ではメダカが「冬眠」することになるので、秋のうちに餌をしっかり与えて体力をつけさせることも欠かせません。
室内飼育の場合は、それほど水温が下がることはありませんが、「水槽用ヒーター」を使うと水温を一定に保つことができます。
冬のメダカ飼育と冬眠、おすすめのヒーターについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫冬のメダカ飼育と冬越し方法!死ぬことなく越冬させる寒さ対策
≫【選び方】メダカにおすすめの水槽用ヒーター6選!30・45・60cm水槽ごとに解説
餓死
メダカは餌をよく食べる魚なので滅多にありませんが、餌が行き渡っていない個体が餓死してしまうことがあります。
体の小さな個体や泳ぎがあまり得意でないダルマ体型、視力が弱いアルビノ・スモールアイなどは普通のメダカと比べて餌を食べるのが上手くありません。
とくにメダカの稚魚は、口が小さく食べられる餌の大きさも限られるため餓死しやすいです。
稚魚の死因の多くが餓死といっても過言ではありません。
対策:毎日決まった量と回数を与える
メダカの餌やりは「1日2回、2~3分で食べ終わる量」を目安に毎日与えましょう。
餌やりのときに、餌を食べられていない個体がいないか確認することも重要です。
餓死しやすい稚魚の場合は、1日4~5回が餌やりの目安です。
稚魚には人工飼料のみよりも、
- ゾウリムシ
- ミジンコ
- ブラインシュリンプ
など生き餌を活用して、いつでも餌を食べられる環境を作ることで生存率が上がります。
メダカの餌やりや稚魚の餌と与え方、旅行や留守で餌やりできない場合の対策は、以下の記事をご覧ください。
≫メダカの餌やりは1日何回がベスト?理想の回数・量と餌の与え方を解説します
≫メダカ稚魚の飼育完全ガイド!おすすめの餌・水換え・飼育容器と生存率を上げる方法
≫旅行や留守でメダカに餌をあげられない!餌なしで大丈夫な期間と無人の餌やり方法
カルキを抜かずに水換え
水換えに使う水道水には魚に有害な塩素(カルキ)が含まれているため、そのまま使ってしまうとメダカが死んでしまう可能性があります。
そのまま使用しても死なないことも多いですが、大きな負担になります。
体調が良くない個体は耐えられないこともあるので、リスクが高いだけでメリットはありません。
対策:カルキ抜きを使う
水換えで水道水を使う場合は、カルキ抜きで塩素を除去してから使うようにしましょう。
固形と液体タイプがありますが、水換えの量に合わせて加減しやすい液体タイプがおすすめです。
製品によって変わりますが、カルキ抜き2mLで10L程度の水道水の塩素を除去できます。
多量の水換えによるpH・水温ショック
一度に多量の水換えをすると、水質の急変によるショック症状を起こしてメダカが危険な状態になることがあります。
水は7.0を中性として数値が下がれば酸性、上がればアルカリ性になります。pH(ペーハー)とも呼ばれますが、
- 中性から大きく酸性やアルカリ性に傾く
- 酸性から大きくアルカリ性に傾く
など、pHが短時間に急変すると「pHショック」というショック症状を起こして高確率でメダカが死んでしまいます。
また、水温が急変することで起こる「水温ショック」もメダカには致命的です。
対策:水槽の1/3程度の水量だけ水換えする
水換えでは一度に多量の水を換えるのではなく、「水槽の1/3程度の水量」を目安にしましょう。
水槽の大半の水を換えてしまうと、それだけ水質が変化しやすいです。とはいえ、多少水量が前後しても問題ないので、神経質になる必要はありません。
また、急に注がず時間をかけて少しずつ注いでいくこともポイントです。
メダカの水換え方法については、こちらの記事をご覧ください。
≫メダカの水換えは1ヶ月に何回がベスト?理想の水換え方法と頻度・水量を解説!
酸欠
水中の酸素が少ない状態がつづくことで、メダカが酸欠を起こして死んでしまいます。
酸欠は、次のような環境で起こりやすいです。
- メダカの数が多い
- 水温が高い
- 水草が多い
メダカの数が多ければそれだけ酸素を消費します。また、酸素は水温が高いほど水に溶け込みづらくなるため、夏は酸欠を起こしやすい時期です。
水草の量が多いと、夜のうちに酸欠になってメダカが死んでしまう事態になりかねません。
対策:過密飼育せずエアレーションを使う
メダカの飼育数は、水1Lに対して1匹が目安です。
飼育容器の水量から考えてメダカの数があまりに多い場合は、容器を大きくしたり、もう1つ用意したりして分けて飼育しましょう。
とはいえ、飼育スペースを確保できない場合もあるので、その場合は「エアレーションを使う」ことで酸素を供給できます。夏の急な酸欠対策にもなるため、1つ用意しておくと安心です。
メダカの酸欠対策は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫夏のメダカ飼育と高水温・暑さ対策5選!水温を効率よく下げる方法
初めて水槽に入れる際に水合わせをしない
メダカを入手して、水合わせをせずにそのまま水槽や飼育容器に入れるとpHショックにつながります。
多量の水換えでも水質は急変しますが、「今までいた水から新しい場所の水に移動する」こともメダカにとっては水質が大きく変わっています。
これは水温も同じで、新しい場所に急に移すと温度差によって水温ショックを起こしてもおかしくありません。
水を入れたばかりの水槽には、餌の食べ残しやフンから発生する有害なアンモニア・亜硝酸を分解してくれるバクテリア(細菌)がほぼいません。
飼育に適していない環境にメダカを入れることで、アンモニア・亜硝酸中毒で死んでしまうことがあります。
対策:時間をかけて水合わせする
メダカを新しい水槽や飼育容器に移動させる際は、必ず「水合わせ」しましょう。
水合わせは、メダカがいる場所に少しずつ新しい場所の水を入れて水を混ぜ合わせていく作業です。
時間をかけてゆっくり混ぜていくことで、水質が急変せずメダカも少しずつ慣れていきます。
水合わせの手順は次のとおりです。
- メダカを袋ごと水槽に30~60分ほど浮かべて水温を合わせる
- 袋からバケツにメダカを移しソフトチューブで水槽の水をバケツに入れる
- バケツの水が倍になったら終了
- 網でメダカを水槽に移す
また、メダカを入れる1~2週間前から水槽に水をためておくとバクテリアが自然に増えるので、飼育に適した水を作ることができます。
「メダカを飼い始めるときは、前もって水槽を立ち上げておく」ことが飼育を安全に始めるコツです。
メダカの水合わせ方法と水槽の立ち上げ方は、こちらの記事をご覧ください。
≫【熱帯魚やメダカ】簡単で魚にやさしい水合わせ方法!pHショックの危険性も解説
≫メダカの室内飼育を始めよう!水槽の立ち上げ方と注意点をご紹介します
≫メダカの屋外飼育を始めたい人へ!必要なものから実際の手順までご紹介します
天敵・外敵の被害
春~秋の暖かい季節は、メダカを食べてしまう天敵の被害も死因の1つです。
メダカが食べられて姿がないこともありますが、食べられなくても狙われてケガをして死んでしまうケースがあります。
- 昆虫類:ヤゴ、小型ゲンゴロウ
- 鳥類:カラス、サギ、カワセミ
- 哺乳類:アライグマ、ハクビシン
といった生き物は、メダカを狙うことがある天敵です。
対策:ネットや金網を使って侵入させない
メダカの天敵対策には、飼育容器に防虫ネットや金網をかぶせる方法がおすすめです。
昆虫や鳥類はネット・金網だけでも問題ありませんが、哺乳類の場合は重しも必要です。
メダカの天敵対策は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫メダカを食べる天敵16種!屋外飼育では食べられる前に対策しよう!
水槽や飼育容器の近くで殺虫剤・消臭スプレーを使う
殺虫剤や消臭スプレーも要注意です。
目に見えて死んでしまうことは滅多にありませんが、水槽の水量が少なかったり、体力のない稚魚だったりする場合は影響を受けてしまう場合があります。
とくに「ワンプッシュで蚊を落とす」タイプの殺虫剤は強力なので、水槽周りで使うと危険です。
対策:水槽から距離を取って使う
一番良いのは使わないことですが、それも難しいので水槽周りでの使用は控えましょう。
蚊やゴキブリを見つけると反射的に使ってしまいがちですが、水槽の周辺、とくに上部では使わないほうが良いです。
病気の影響
メダカは丈夫な魚ですが、病気が原因で死んでしまうことがあります。
メダカがかかりやすい病気は次のとおりです。
- 白点病
- 水カビ病
- 尾ぐされ病
- 転覆病
- 過抱卵病
体表やヒレ、泳ぎ方、餌の食べ具合など、病気によって症状が変わります。
対策:水換えによる予防と塩水浴・薬浴
水質悪化は万病のもとなので、定期的な水換えが病気対策になります。
それでも発症してしまった場合は、症状から病気を判断して薬浴しましょう。
見ただけでは判断できないときは、メダカの回復力を高める塩水浴が効果的です。
かかりやすい病気の主な対策は次のとおりです。
- 白点病:メチレンブルーで薬浴
- 水カビ病:グリーンFリキッドで薬浴
- 尾ぐされ病:グリーンFゴールド、エルバージュエースなどで薬浴
- 転覆病:低水温期に餌やりしない、消化しやすい餌を与える
- 過抱卵病:オスの数を増やして産卵を促す
メダカの病気や症状と薬浴・塩水浴の方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫メダカがかかりやすい病気の種類と治し方 | 症状から治療・薬浴まで
≫【実例付き】メダカの塩水浴の方法と塩水の作り方 | 回復までの期間と元の水槽への戻し方とは
寿命を迎えた
メダカの死因の1つとして、老衰があります。
寿命は3年、長くても5年ほどなので、飼育期間が長い場合は寿命で死んでしまった可能性があります。
対策:静かに見守る
寿命は避けようがないので、静かに見守ってあげましょう。
メダカの寿命と長生きさせるコツは、こちらの記事で詳しく解説しています。
メダカを死なせないために体調不良のサインを見逃さない
メダカを死なせないためには、予防することがなにより重要です。
- 水槽の底や水面で動かない
- 体表やヒレなどに異常が現れている
- 泳ぎ方に力がない
- 餌を食べない、口にする量が少ない
- 人が近付いても反応が鈍い
といった異変はメダカが体調不良のサインを発している可能性が高いので、気付き次第対策しましょう。
メダカの体調不良のサインと原因は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫メダカの元気がない・動かない!死ぬ前に知っておきたい原因7つと対策!
まとめ:メダカが死んでしまう12の原因と対策 | 死因がわかれば同じ失敗を防げる
今回はメダカが死んでしまう12の原因と対策をご紹介しました。
メダカの死因は、水質や水温、酸欠、病気など、外見で判断できないことも少なくないので、特定しにくいのも無理はありません。
その場で判断できない場合は、前日や3日前など、直近を振り返って原因がないか探してみてください。
また、同じ水槽でメダカを飼育しているのであれば、他のメダカの状態を確認することも大切です。他のメダカに現れている症状から、死因が特定できることもあります。
大切に育てていたメダカが死んでしまうのは悲しいことですが、原因と対策がわかれば同じ失敗を防げるので、メダカの飼育に活かしてみてください。