熱帯魚が底や水面で動かない・元気がない12の原因と対策!泳がないのは体調不良のサイン

つい最近飼い始めたり、今まで飼育していたりした熱帯魚が、

  • 泳がず水面や底でジッとして動かない
  • フラフラと泳いで元気がない
  • 餌を食べにやってこない

など、普段との様子の違いで困っていませんか?

熱帯魚の異常は動きに表れることが少なくありません。事態を悪化させたり、死なせたりしないためには早期に原因を特定して対策することが重要です。

ここでは、熱帯魚が底や水面で動かない・元気がないときの12の原因と対策をご紹介します

熱帯魚の動きがおかしい場合は、体調不良のサインの可能性高いです。とはいえ、原因と対策がわかれば改善できることも少なくないので、落ち着いて対処しましょう。

高橋
熱帯魚のアーモンドスネークヘッドを15年以上飼育していますが、体調に気を付けていることもあって現在も元気に泳いでいます。その他にも小型熱帯魚や淡水魚の体調不良を改善しつつ、長期間飼育してきた経験をふまえて解説するので、ご覧になってみてください。

目次

熱帯魚が動かない・元気がないときは体調不良や異常のサイン

熱帯魚が泳がず動かなかったり、元気がなかったりするときは、体調不良や水槽内に異常がある可能性が高いです。

  • 底や水面でジッとして動かない
  • 泳ぎ方に元気がない
  • 水面でフラフラ泳いでいる
  • 餌をやっても食べにこない
  • 水草や流木の近くでおびえている

など、普段と様子が違うときは熱帯魚の動きと水槽内を確認して原因を探しましょう。

体調不良といっても、

  • 水質の悪化
  • 一緒に飼っている混泳魚からいじめを受けている
  • 病気の初期症状

など、原因はさまざまです。効果的な対策も変わってくるので、「熱帯魚に影響を与えている問題を正確に特定する」ことが重要です。

原因がわかれば対策できることも少なくありません。

熱帯魚が底や水面で動かない・元気がない12の原因と対策!

コリドラス

ここでは、熱帯魚が底や水面で動かなかったり、元気がなかったりするときに確認してほしい12の原因をご紹介します。

合わせて対策も解説するので、症状から判断して確率が高いものから実践してみてください。

水換え不足や餌のやり過ぎによる水質悪化

熱帯魚の餌やり

水槽の水質が悪化すると、熱帯魚の動きが悪くなったり、元気がなくなったりします。

水質が悪化する主な原因は次の3つです。

  • 水換え不足
  • 餌のやり過ぎ
  • 魚の数が多い

水中に餌の食べ残しやフンが多かったり、水換えの頻度が低かったりすることで水質が悪化していきます。

また、魚の数が多いと餌やフンが増え、水質が汚れるペースが早まります。

水質が悪いと体調不良だけでなく、病気につながることも珍しくありません。

対策:水換え・餌の量を調整する

水質の悪化は、水換えが1番の対策です。

汚れた水を新しいものに換えることで、すぐに改善します。飼育環境にもよりますが、2週間に1回は水換えするようにしましょう

一度に多量の水を換えると水質が急変して、熱帯魚が体調をくずしたり、ショック症状を起こしたりすることがあります。1回に換える水量は多くとも水槽全体の1/3にとどめたほうが安全です。

また、餌の量が多いと水が汚れやすくなるため、グッピーやコリドラス程度の小型熱帯魚の場合は1日1回、2~3分で食べ切る量を目安にして与えます。

一度にドバっと入れると食べ残しが増えるので、少量を数回に分けて餌をやるのがポイントです。

中~大型魚の場合は、毎日与えると太ってしまうことがあるため、2~3日に1回でも問題ありません。

高橋
小~大型熱帯魚に同じことがいえますが、個体によって餌食いの良し悪しがあります。やせたり、太ったりなど、体型を見て餌やりの頻度と量を調整するようにしましょう。

最初から適量を判断することは難しいので、餌の食べ方と体型を確認しながら少しずつ調整していけば問題ありません。

熱帯魚の餌やりについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

≫熱帯魚の餌やりは1日1回がベスト!健康的に育てられる回数と量を理由付きで紹介

立ち上げたばかりの水槽に熱帯魚を入れる

水槽を設置してすぐに熱帯魚を入れると、高確率で体調をくずします。

泳がなかったり、餌を食べなかったりすることも珍しくありません。

この場合の原因は次の2つです。

  • 熱帯魚が飼育できる水質になっていない
  • 水合わせをしていない

実は、立ち上げたばかりの水槽にはバクテリアがいないため、熱帯魚が住める環境になっていません

バクテリアが有害なアンモニア・亜硝酸をほぼ無害な硝酸塩に変える
バクテリアとは
水槽内にいる細菌で、餌の食べ残しやフンから発生する有害なアンモニア・亜硝酸をほぼ無害な硝酸塩に変えてくれる存在です。

バクテリアがいないと有害なアンモニアや亜硝酸が水槽に蓄積するため、熱帯魚には厳しい環境といえます。

また、魚を水槽に入れるとき水合わせをしないと体調不良につながります

水合わせとは
水槽の水と魚のいる水を少量ずつ混ぜ合わせて水質や水温を近付ける作業です。

これから入れる水槽と今までいた環境では水質や水温が異なるため、そのまま入れると環境が急変してショック症状を起こして弱ってしまうことがあります。

対策:期間を空けて熱帯魚を入れる・水合わせする

水槽を設置したら2週間ほど期間を空けてから熱帯魚を入れるようにしましょう。

バクテリアは何もしなくても自然と増えていくので、魚を入れずに待ちます。

高橋
酸素があることでバクテリアが活性化するため、ろ過フィルターをつけて水を循環させることも重要です。

期間が経過して魚を入れられる環境になったら、水合わせをして熱帯魚を入れましょう

水合わせの手順は次のとおりです。

  1. 水槽に袋のまま魚を浮かべる
  2. 袋の魚をバケツに移す
  3. ソフトチューブを使って水槽の水をバケツに入れる
  4. 網を使って魚を水槽に移す

水合わせをすることで水質と水温の急変を防ぐことができるので、熱帯魚がショック症状を起こすことなく安全に水槽に入れることができます。

バクテリアと水合わせの方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。

≫熱帯魚・メダカ水槽に必要なバクテリアとは!硝化サイクルで水がろ過される仕組み

≫【熱帯魚やメダカ】簡単で魚にやさしい水合わせ方法!pHショックの危険性も解説

新しい環境に慣れていない・おびえている

水槽に入れたばかりの熱帯魚は、新しい環境に慣れておらず底のほうでジッとして動かないことが多いです。

今までいた景色と大きく異なるため、おびえてしまうのも無理はありません。

また、水換えや底床の掃除、レイアウトの変更などで水槽内が変わることによっておびえて動かなくなることもあります。

対策:水槽から離れて様子を見る

とくに問題があるわけではないので、1日ほど様子を見ましょう

次の日には元気に泳いでいることが多いです。

高橋
心配だからといって水槽に近付いて見ていると、かえっておびえてしまうため、離れて様子を見ることをおすすめします。

また、水槽の置き場所の人通りが多かったり、扉の近くだったりすると、人影や振動でおびえやすくなるので避けたほうがよいです。

混泳魚からいじめやストレスを受けている

一緒に飼っている混泳魚からいじめを受けると、水槽の底や水面の目立たない場所でジッとして動かないことがあります。

性格の優しい種類であれば起こりにくいですが、

  • ベタ
  • スマトラ
  • エンゼルフィッシュ

といった魚種は気性が荒く、同種や他種の魚を追いかけたり、つついたりしてしまうことがあります。

対策:隠れ家を増やす・隔離する

混泳魚からのいじめは水槽内を観察することで判断できます。

一方的に追いかけたり、つついたりしていればいじめの確率が高いです。

1番効果的な対策は別の水槽に隔離することですが、飼育スペースを確保できないこともあるでしょう。

その場合は、

  • 水草
  • 流木

などを水槽に入れることで隠れ家を作ることができます

高橋
隠れ家によって視界に入る回数が減るだけで、けんかが起こる確率が下がりますし、追いかけられても逃げ込む場所になります。

とはいえ、いじめがひどい場合は隠れ家でも難しいことがあるため、熱帯魚を入手する前に気性の荒さや今いる魚との相性を確認するようにしましょう。

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餌不足による栄養失調

餌が足りないことで栄養失調になり、動きが悪くなることがあります。

体形が細くなっているようであれば、餌不足の可能性が高いです。

「しっかり餌をやっているのにやせている」という場合でも、次のケースでは餌不足になります。

  • 混泳魚が優先して食べている
  • お掃除生体に餌をやっていない

一緒に飼っている混泳魚が先に食べてしまって餌が行き渡っていないことがあります。

また、コリドラスやオトシンクルスといった餌の食べ残しやコケを食べてくれるお掃除生体に餌をやらず、餌不足になっていることも珍しくありません。

餌の食べ残しやコケを食べるからといって、他の魚の食べ具合やコケの量によっては足りないことがあります。

対策:食べ具合を確認する・専用の餌をやる

水槽のコリドラス

水槽を観察して、魚全体に餌が行き渡っていることを確認しましょう

不足していれば餌の量を増やす、もしくは水槽の2ヶ所から餌を入れるようにしてみてください。1ヶ所よりも餌が拡散しやすくなります。

また、お掃除生体に餌が足りていない場合は、専用の餌を与える方法が効果的です。

コリドラスやオトシンクルス専用の沈下性の餌であれば、底まで早く沈むうえに硬くて他の魚が食べにくいです。

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水槽用ヒーターの入れ忘れで水温が低下している

熱帯魚は暖かい地域に生息している魚なので、水温が低下すると動かなくなります。

熱帯魚水槽は水槽用ヒーターで保温するため、水温が低下して魚に影響がでることは多くありません。しかし、秋に水槽用ヒーターを入れ忘れることがあります。

夏は水槽用ヒーターがなくても25℃以上を維持できるため、電源を切ったり、ヒーターを一時的に外したりすることがあります。そのまま秋になって水温が低下してもヒーターを入れないと、熱帯魚にはよくありません。

最初は動かないだけですが、もっと低下すると死んでしまうことも少なくありません。

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対策:こまめに水温計を確認する

水槽の水温は、水温計でこまめに確認しましょう

安価なものでかまわないので見えやすい場所に設置して、水槽の前を通ったり、餌をやったりするときに確認することが重要です。

水温計をこまめに確認すると、水槽用ヒーターの故障に早めに気付くこともできます。

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夏場の水温の上昇

熱帯魚は暖かい地域に生息する魚ですが、夏に水温が上がり過ぎると元気をなくすことがあります。

熱帯魚の適水温は26℃前後です。30℃を少し超える程度なら問題ないものの、35~40℃ともなると弱ったり、消耗したりする魚がでてきます。

対策:水槽の置き場所を変える・冷却ファンを検討する

水槽に日差しが当たっている場合は、置き場所を変えましょう。

日光は天候によって光量が安定しないため、水温の急上昇につながります。

コケが発生する原因にもなることから、日光ではなく照明で管理するほうが水槽の状態が安定します。

水槽の置き場所の問題ではなく部屋全体の室温が上がりやすい場合は、水槽用冷却ファンもおすすめです。

高橋
水槽上部に設置する小型の扇風機のようなもので、製品にもよりますが水温を3~4℃下げる性能があります。

冷却ファンを使うと水槽の水が蒸発しやすいため、足し水が必要です。

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水面に浮いて元気がないなら酸欠の可能性あり

水面に浮いて口をパクパクさせていたり、フラフラと泳いだりしていたら酸欠の可能性があります。

酸欠とは
水中の酸素が不足していて、魚にまで行き渡っていない状態です。酸欠がつづくと死んでしまうこともあります。

ろ過フィルターを設置している場合は酸素が供給されるので酸欠になりにくいですが、ろ過フィルターを設置していない小型水槽用やボトルアクアリウムでは酸欠の危険があります。

水中に溶け込むことができる酸素の量は水温が上昇すると少なくなるため、夏場はとくに酸欠になりやすいです。

対策:ろ過フィルターを設置・エアレーションする

水槽にろ過フィルターがない場合は、水槽の大きさにあったものを設置しましょう。

また、エアーポンプを用意してエアレーションするだけでも酸欠を防ぐことができます。

高橋
ボトルアクアリウムの場合は、ボトルを大きくしたり、水換えの頻度を増やしたりして対策します。

大きなボトルは水量も増えるので酸素の量も多くなりますし、水換えによって酸素を供給することが可能です。

飼育機材の故障で水質や水温が急変している

水槽全体の魚の泳ぎ方がおかしい場合は、ろ過フィルターや水槽用ヒーターが故障していることがあります。

頻繁に起こるものではありませんが、珍しいことでもありません。

ろ過フィルターが故障すると酸欠の危険がありますし、水槽用ヒーターが壊れると水温の急上昇や急低下で高確率で熱帯魚が死んでしまいます

対策:水槽を毎日確認する・水槽用ヒーターを買い替える

水槽を毎日観察して、水槽内や周辺機材に異常がないか確認しましょう。

ろ過フィルターが故障すると音がなくなるうえに、酸欠気味で魚の動きが鈍くなったり、水面に浮いたりします。

また、水温計を確認すれば、水槽用ヒーターが動作しているか判断できます。

水槽用ヒーターは1年程度で買い替えを推奨しているメーカーが多いです。

2~3年使えることも珍しくありませんが、安全を重視するなら1年、長くとも2年程度で買い替えることをおすすめします。

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病気の初期症状

病気の初期症状では体表に異常が現れる前に、動きが鈍くなることがあります。

感染力が強い病気の場合は初期で対策しないと、水槽全体に広がってしまうことも珍しくありません。

対策:水換えで水質を改善する・治療する

体表に異常が見えないため判断は難しいですが、水換えで水質を改善することをおすすめします。

水質悪化が病気の原因になることは少なくありません。病名が特定できない場合は、きれいな水質を維持して症状を悪化させないことが重要です。

水換えをした後は、魚の体表やヒレを観察して病気の症状が現われないかこまめに確認しましょう

熱帯魚水槽で目にしやすい病気と症状は次のとおりです。

病名主な症状魚病薬
白点病体表に小さな白い点が現れる メチレンブルー
水カビ病体にフワフワとしたカビが付着する ニューグリーンF
尾ぐされ病尾ビレがボロボロに溶ける グリーンF、エルバージュエース、
観パラD

病気が特定できたら、発症している魚を別の水槽に隔離して魚病薬で薬浴します

薬浴方法は魚病薬によって異なりますが、手順と添加量は製品の箱や容器に記載してあります。

熱帯魚の寿命が近付いている

熱帯魚は寿命が近付くと弱々しく泳ぐことがあります。

体力が落ちるので無理はありません。

熱帯魚の一般的な寿命は次のとおりです。

  • 小型熱帯魚:2~3年、長いもので5年前後
  • 中~大型熱帯魚:5~10年、長いもので15年前後

グッピーやネオンテトラのような小型熱帯魚であれば、長くても5年前後で寿命を迎えることが多いです。

中~大型熱帯魚の場合は、10年前後生きるものも珍しくありません。

高橋
アロワナやポリプテルスは20年以上生きることもあります。

対策:見守る

寿命は仕方ないので、見守ってあげましょう。

動きが鈍くなって混泳魚に餌を奪われがちなら、別の水槽に隔離して単独飼育にするのもおすすめです。

熱帯魚が寝ている・休んでいる

昼に活動する昼行性の魚の場合は夜に照明を消すと、寝たり、休んだりして動かなくなることも珍しくありません。

他の生き物のように目をつぶらないのでわかりにくいですが、底でジッとする魚もいればフラフラと漂うように泳ぐものもいます。

対策:必要なし

魚の生理現象なので、問題ありません。

動きが鈍いからといって照明を点灯すると驚いてしまうので、そっと見守りましょう。

【まとめ】熱帯魚が底や水面で動かない・元気がない12の原因と対策!泳がないのは体調不良のサイン

熱帯魚が底や水面で動かない・元気がないときの12の原因と対策をご紹介しました。

熱帯魚が動かなかったり、元気がなかったりするときは、ここでご紹介した原因に当てはまっていないか1つずつ確認してみてください。関係しているものがあるはずです。

原因が特定できれば対策することは難しくありませんし、早期発見できれば改善する確率がグッと上がります。世話の合間でもよいので、魚の動きをこまめに観察して体調を確認するようにしましょう。

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