愛らしい見た目とコケ取り能力を兼ね備えた魚「オトシンクルス」。
水草水槽を管理するアクアリストには、コケ取り役としてお馴染のお掃除生体ですが、
「気付いたらいなくなっていた!」
という経験はありませんか?
その場合は、新たに水槽に入れる前に飼育環境に問題がないか疑ってみてください。
今回は、アクアリウム初心者の頃から飼育してきた、飼育歴11年の経験をもとに、オトシンクルスの飼い方についてご紹介します。
水質や水槽サイズ、餌など、オトシンクルスの飼育に必要なことをまとめたので、これから飼い始めたい、もしくは飼育でお悩みの方は、ぜひご覧ください。
目次
オトシンクルスの特徴と生態について
初めに、オトシンクルスの特徴と生態についてご紹介します。
体長・性格といった特徴や生態は、水槽の大きさや混泳の相性など、飼育環境に直結します。
オトシンクルスはナマズの仲間
オトシンクルスはナマズの仲間で、主に南米に生息しています。
特徴としては、口が吸盤のように吸い付く構造になっていて
- 水槽
- 石
- 流木
などの表面に生えているコケを食べることができます。
大きさは4~5cm程度と小型で温和な性格なので、水槽内の生体と相性がよいコケ取り役として有名です。オトシンクルスの仲間でオトシンネグロという種類もおり、こちらのほうがコケ取り能力が高いです。
口が吸盤のようになっている種類でコケを食べる魚にはプレコもいます。
小型のタイガープレコやブッシープレコであれば、オトシンクルスのようにコケ取り役になります。とはいえ、同種がいると縄張り争いを起こすことがあるため、扱いやすさではオトシンクルスがおすすめです。
オトシンクルスの生態と食性
口が吸盤になっていることから、いつもどこかに引っ付いています。
そして、水草の葉や水槽面に付いたコケを忙しそうに食べています。また、夜行性なので、水槽の消灯後に餌を落としてあげると、他の魚に取られてしまうこともありません。
おすすめの餌は、後ほどご紹介します。
水槽のお掃除生体として有名
オトシンクルスは、温和で他の熱帯魚と混泳させても問題なく、水槽面や水草の葉にくっついて一生懸命コケを食べてくれます。
アヌビアス・ナナなどの成長の遅い水草の葉に付いたコケも食べてお掃除してくれるため、ヤマトヌマエビやミナミヌマエビと並んで人気のあるコケ取り生体です。
ただし、黒ヒゲコケやアオミドロなどは食べてくれないので、別のコケ対策が必要です。オトシンクルスが有効なのは水槽面や石などの表面に付いた茶ゴケや緑ゴケになります。
オトシンクルスの飼い方のすべて!最適な飼育環境と餌を解説
最適な水質や水槽サイズ、餌など、オトシンクルスの飼い方をご紹介します。
実際に長年飼育している環境なので、参考にしてみてください。
好みの水温と水質
オトシンクルスは、そこまで水温、水質に神経質にならなくてもよい適応範囲の広い魚です。
水温は24℃~28℃と熱帯魚の一般的な水温で飼育できます。冬場には水槽用ヒーターが必要です。
水質はpH6~pH7.0の弱酸性の軟水を好みます。
おすすめの水槽サイズと飼育に必要なもの
30cm水槽で1~2匹、60cm水槽で2~3匹が目安です。
あまり多く入れても、水槽内に発生するコケが足りず餓死させてしまいます。
水底にはいつくばって歩くこともあるので、傷つかないように底床はサンゴ砂以外のものにしましょう。熱帯魚用の底砂であれば、問題なく飼育できます。
ろ過フィルターと照明は、水槽サイズに合ったものを用意しましょう。
また、夜行性のため、日中に安心して隠れられる流木や水草を植えてあげてください。
おすすめの餌:ひかりクレスト「プレコ」
コケを食べると言っても、ガラス面の緑コケや茶ゴケしか食べませんので、コケが不足すると餓死してしまうことがあります。
ガラス面がきれいになったら、人工飼料を与えましょう。
おすすめの餌はひかりクレスト「プレコ」です。
もし餌付かない場合は、茹でたほうれん草などを沈めると食べてくれます。しっかり観察して人工飼料を好まない個体だった場合は、少し手間をかけてあげてください。
餌の取り合いになるライバルは、
- コリドラス
- ヤマトヌマエビ
- ミナミヌマエビ
- ラムズホーン
など、同じようにコケを食べるお掃除生体です。餌の量は水槽のライバルの数に応じて、適宜調整してあげると元気に育ちます。
オトシンクルスの混泳条件
オトシンクルスは、どのような熱帯魚とも仲良く混泳できます。
自然界では群れるので、同種でも問題ありません。オトシンクルスが飲み込まれるほどの中型以上の魚やカメなどでなければ、混泳できます。
小さな水槽で育てる場合は、水草や流木などを十分入れて隠れ家を作ってあげてください。
オトシンクルスの繁殖方法
オトシンクルスは水槽では繁殖が難しく、意図的に繁殖させるのは困難です。
同種のオトシンネグロは丈夫で繁殖が簡単に行えるので、挑戦してみるのも面白いでしょう。
オス1匹、メス2匹を同じ水槽に入れてあげると抱卵しやすくなります。
卵は数日で孵化しますが、稚魚は最初ブラインシュリンプでも大きすぎて食べられません。さらに小さいゾウリムシを繁殖させたグリーンウォーターを作る準備をしておきましょう。
急ぎの場合はゾウリムシやグリーンウォーターを通販で入手することが可能です。また、川からゾウリムシを採取して自分で培養する方法もあります。
ゾウリムシやグリーンウォーターについては、こちらのメダカの記事で解説しています。入手方法や管理方法、魚への与え方は、まったく同じです。
≫メダカ稚魚の飼育完全ガイド!最適な餌・水換え・飼育容器と生存率を上げる方法
オトシンクルスの入手方法
ネット通販では、3匹850円ほどで入手できます。
ただ、輸送のダメージが気になる場合は、直接ショップで購入することをおすすめします。アクアショップであれば大抵売っているので、お店が近くにある方は通販よりも早く入手可能です。
通販で熱帯魚や飼育用品を入手する際の注意点と安く買う方法、そして水合わせについては、こちらの記事で解説しています。
≫【熱帯魚やメダカ】簡単で魚にやさしい水合わせ方法!pHショックの危険性も解説
≫熱帯魚・メダカ・金魚・飼育用品を通販で買うときの注意点 | 失敗せず安く購入する方法
まとめ:オトシンクルスの飼い方のすべて | 最適な飼育環境と混泳相手の選び方
今回はオトシンクルスの飼い方について解説しました。
適応する水温、水質の範囲も広く、初心者でも飼育しやすい熱帯魚です。コケ取り能力も期待できるので、水槽掃除の機能面でも優秀な魚といえます。
飼育で気を付けるべきポイントは、コケを食べるからと言って餌を与えず餓死させてしまわないようにしっかりと餌を与えることです。
餌付けが成功すれば飼育難易度は決して高い熱帯魚ではありません。経験ではプレコタブレットを食べなかった個体はいないので、安心してください。
水槽面に引っ付いて移動する姿も可愛らしいので、お掃除生体として、混泳相手として飼育してみてください。
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