メダカは丈夫な魚ですが、飼育しているうちに病気になってしまうことがあります。
病院に連れていくわけにもいかないので、自分で病気の種類を判断・治療する必要がありますが、
- 調子がおかしいけど病気の種類がわからない
- 薬浴の手順が難しそう
- 治療が裏目に出ないか心配
など、メダカの今後を左右するだけに、不安に感じることも少なくありません。
ここでは、症状の判断から治療・薬浴の方法をふまえて、メダカがかかりやすい病気の種類と治し方をご紹介します。
病気の種類がわかれば治療に進めますし、メダカが死んでしまうリスクを下げることが可能です。
目次
メダカがかかりやすい病気の種類と症状・治し方
メダカがかかりやすい病気は、次の5つです。
- 白点病
- 水カビ病
- 尾ぐされ病
- 転覆病
- 過抱卵病
症状と治し方をご紹介するので、メダカの体に現われている状態を確認しつつ目を通してみてください。
どうしても判断できない場合の対処法と薬浴の手順については、後ほど詳しくご紹介します。
白点病:体に白い点が現れる
メダカの体やヒレに白い点が現れた場合は、「白点病」の可能性が高いです。
白点虫(ウオノカイセンチュウ)が寄生することで発症します。
- 体表に白い点が多く現れる
- 体を水槽内のものに擦る
治療できる病気ですが、重症化すると死んでしまうので早めに対処することが重要です。
感染力が強いので、複数のメダカに症状が現われることも珍しくありません。
白点病の治し方
白点病と判断したら、症状が現われている個体を別の容器(水槽やプラスチックケースなど)に隔離しましょう。
隔離できたら「メチレンブルー」という魚病薬を使って1~2週間ほど薬浴します。
隔離容器の水量によって使用量は変わりますが、メチレンブルーの容器に記載してあります。
白点中は高水温に弱いので、水槽用ヒーターを使って水温を28~30℃程度にするとより効果的です。薬浴中は餌やりをする必要はありません。
1週間ほどで水換えしますが、濃度が下がらないようメチレンブルーを水量に合わせて入れた水を使います。
白点病が治ったら、餌やりしつつ3日に1回程度の頻度で水換えして通常の水に戻した後、水槽に移動させましょう。
薬浴の具体的な手順は、後ほどご紹介します。
水カビ病:白い綿状カビが付着
メダカの体にフワフワとした白い綿状のカビが現れる病気です。
傷や擦れた部分で菌が繁殖することで発症します。
- 体やヒレに白い綿状のカビが付着する
- 力なくフラフラ泳ぐ
- 餌を食べない
放っておくとカビの範囲が広がっていき、メダカが衰弱して危険な状態になります。
水カビ病の治し方
水カビ病を発症している個体を別の容器に隔離して、「グリーンFリキッド」を使って薬浴します。
用法と容量はグリーンFリキッドの容器や説明書に記載してあります。
薬浴中は餌やりを控えましょう。1週間経過したら様子を見て、症状が残っていればグリーンFリキッドを水量に合わせて入れた新しい水で水換えします。
治っている場合は、3日に1回の頻度で水換えして薬の濃度を下げて通常の水に戻した後、水槽に移動させます。
比較的初期のメダカが弱っていない段階であれば、ピンセットでカビを除去する方法も効果的です。
尾ぐされ病:尾びれが溶ける・ボロボロになる
メダカの尾びれが溶けたり、ボロボロになったりしている場合は、「尾ぐされ病」の可能性が高いです。
カラムナリス菌が原因の感染症で、口ぐされ病もこの菌の影響で発症します。
- 尾びれが溶けたようにボロボロになる
- 赤く充血する
重症化すると尾の大部分がなくなったり、死んだりしてしまうこともあります。
尾ぐされ病の治し方
尾ぐされ病も他の病気と同様に、別の水槽やプラスチックケースに隔離して薬浴することになります。
効果的な魚病薬は、次の3種類です。
- グリーンFゴールド
- エルバージュエース
- 観パラD
それぞれ用法・容量が異なるので、容器の記載や付属の説明書を確認するようにしてください。
薬浴の期間は1~2週間が目安ですが、治りが悪い場合は新しい水に薬を入れたもので1週間に1回水換えしつつ、治るまでつづけます。
転覆病:腹部を上にして浮かぶ
メダカがひっくり返るように腹部を水面に向けている場合は、「転覆病」です。
原因ははっきりわかっていませんが、消化不良によりガスがたまることで転覆病になることがあります。
- 腹部を水面に向けてひっくり返るように浮かぶ
- 腹部が膨らむ
転覆病になると餌が食べられないだけでなく、不自然な体勢で体力を消耗してしまいます。
転覆病の治し方
治療が難しい病気で、消化不良によるガスだまりの場合に限り治る可能性があります。
水温を25~28℃に上げて消化を促すことで改善するケースがありますが、確実に治るとはいえません。
転覆病は治療よりも、
- 消化不良になりやすい寒い時期は餌やりの頻度を少なくする
- 餌をやりすぎない
- 消化しやすいパウダー状の餌を与える
など、餌のやり方で予防するほうが効果的です。
メダカの餌やりについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫メダカの餌やりは1日何回がベスト?理想の回数・量と餌の与え方を解説します
過抱卵病:腹部が膨張する
メダカの腹部が異常なほど膨れている場合は、「過抱卵病」の可能性が高いです。
繁殖期にメスが卵を産めないことで発症します。
- メスの腹部が大きく膨らむ
長期化すると死んでしまうので、発見次第治療する必要があります。
過抱卵病の治し方
過抱卵病は卵が産めないことが原因なので、次の方法で産卵を促します。
- オスの数を増やす
- 水換えで刺激を与える
- 綿棒で卵の出口付近を軽くつつく
同じ容器にオスがいても相性が悪ければ繁殖しないので、メス1匹に対してオス3匹といったように数を増やしましょう。
また、水換えによる刺激が産卵につながることもあります。
ただ、水質を急変させると体調不良につながるため、飼育容器の1/3~1/2程度の水量が水換えの目安です。
メダカへの負担が大きいのでおすすめはしませんが、綿棒で卵の出口付近をつついて刺激を与えることで卵が出る場合もあります。
メダカを薬浴させる方法
メダカの病気が判明して薬浴が効果的な場合は、次の手順で行いましょう。
- 飼育水を隔離容器に移す
- メダカを隔離する
- 魚病薬を3~5回に分けて規定量になるまで入れる
- 1~2週間ほど薬浴する
- 完治したら3日に1回水換えして通常の水に戻す
- メダカを飼育容器に戻す
魚病薬によって水槽内のバクテリアや水草がダメージを受けてしまうため、別の容器に隔離して薬浴することが重要です。
薬浴用の水は飼育水で問題ありません。
病気のメダカを隔離容器に移動させたら、できるだけ負担を減らすために、魚病薬を3~5回に分けて規定量になるまで入れていきます。
1週間ほど様子を見て症状が残っている場合は、水道水に規定量の魚病薬を入れたもので1/2程度の水量を水換えして薬浴をつづけましょう。
薬浴中は水が汚れやすいので基本的に餌やりは不要ですが、1週間を超える場合は食べ残しがでない少量を与えます。
薬浴を終えて本来の飼育容器に戻す方法
病気が治ったら、2~3日に1回、隔離容器の水を1/3ほど換えて通常の水に戻していきます。
水換えしつつ1週間ほどしたら、飼育容器に戻しても問題ありません。
水合わせの方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫【熱帯魚やメダカ】簡単で魚にやさしい水合わせ方法!pHショックの危険性も解説
病気の種類が判断できないなら「塩水浴」が効果的
病気がはっきりと特定できない場合は、「塩水浴」が効果的です。
- 塩水浴とは
- 飼育水を薄い塩水にすることで、浸透圧調整による負担を減らしメダカの回復力を高める方法です。
通常では飼育水よりもメダカの体液のほうが濃いため、浸透圧によって水分が体に入ってこようとします。
とはいえ、浸透圧調整にも体力を使うので、飼育水を塩水にすることによって、濃度をメダカの体液に近付けて浸透圧調整しなくても済むようにします。
「浸透圧調整に使っていた体力を回復力にまわす」ことで、メダカの症状が改善しやすくなります。
メダカの塩水浴の手順は、次のとおりです。
- 隔離容器にメダカを移す
- 塩を溶かして数回に分けて入れる
- 5日前後様子を見る
- 回復したら元の水槽へ戻す
塩水浴の具体的な手順は、こちらの記事をご覧ください。
≫【実例付き】メダカの塩水浴の方法と塩水の作り方 | 回復までの期間と元の水槽への戻し方とは
メダカの病気は予防が大切
メダカの病気を考えるうえでは、治療よりも「予防」や「早期発見」が大切です。
重症化すると治りにくいですが、発見が早いほど治療できる確率が上がるためです。
病気を予防するためには、水質をきれいに保つようにしましょう。「悪化した水質は万病のもと」といっても過言ではありません。
また、病気の初期症状として、
- 底のほうでジッとして動かない
- 泳ぎ方に元気がない
- 餌を食べない
- 人が近付いても反応しない
といったメダカの行動に異変が表れることもあります。
気付いた時点で注意深く観察したり、念のため塩水浴したりすることで、病気が重症化せずに済むことも少なくありません。
メダカの体調不良のサインは、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫メダカの元気がない・動かない!死ぬ前に知っておきたい原因7つと対策!
まとめ:メダカがかかりやすい病気の種類と治し方 | 症状から治療・薬浴まで
今回は、症状の判断から治療・薬浴の方法をふまえて、メダカがかかりやすい病気の種類と治し方をご紹介しました。
- 白点病:メチレンブルーによる薬浴
- 水カビ病:グリーンFリキッドによる薬浴
- 尾ぐされ病:グリーンFゴールドなどによる薬浴
- 転覆病:水温を上げる
- 過抱卵病:オスの数を増やす
病気の発見と治療がスムーズにできると、メダカの生存率が上がります。
とはいえ、症状がはっきり現れない場合もあるので、判断が難しい場合は塩水浴で様子を見るのも効果的な方法です。
初期症状であれば水換えや塩水浴で改善することもありますが、基本的に自然治癒することは難しいので、大切なメダカを守るためにも病気の治療や薬浴に取り組んでみてください。