金魚は春~秋の暖かい時期に飼い始めることが多い魚ですが、飼育に慣れてきたときに直面するのが、
- 冬の間の餌やりや水換えはどうする?
- 金魚の冬越しはいつから始めたらいい?
- 寒さで死んでしまわないか心配
といった「冬の金魚飼育」の悩みです。
金魚は低水温に強い魚で冬越しできることは知っていても、餌やりや水換えなど実際にどう世話をすればいいか困ってしまうことも少なくありません。
そこで今回は、冬の金魚飼育と冬越し方法をご紹介します。
金魚が元気な状態で春を迎えるために必要な内容をまとめました。
目次
金魚は12月~翌年2月まで冬眠する
金魚は水温が低下すると冬眠する魚なので、12月~翌年2月の寒い時期は冬眠期間です。
水温の低下に合わせて活動量が落ちて動かなくなる現象です。冬眠中は動かないことでエネルギー消費を抑えられるため、餌がなかったり、酸素が少なかったりしても生きていられます。「冬越し」や「越冬」と呼ばれることもあります。
寒さの厳しい年であれば、11月半ば~3月半ばまで冬眠することもあります。金魚は水温が15℃を下回ると活性が落ちて、10℃以下になると本格的に冬眠に入ります。
3月になって水温が上がれば、少しずつ活動を始めます。金魚の冬眠を判断するためには水温の確認が欠かせないため、水温計を1つ用意しておきましょう。
春の金魚飼育については、こちらの記事をご覧ください。
≫春の金魚飼育を3.4.5月に分けて解説!餌やりと水換えは完全に冬眠明けしてから
屋外飼育で金魚を越冬させる方法
ここからは、屋外で飼育している金魚を越冬させる方法をご紹介します。
金魚の冬越しで一番大切なことは「世話をしない」ことです。
具体的には、
- 冬眠中は餌やりを控える
- 水換えは冬眠明けまで不要
- 足し水して水位を下げない
- フタやすだれを使って凍結対策
- エアレーションは必要ない
など金魚の冬眠をサポートすることが中心になります。
「長期間世話をしなくて大丈夫?」と思うかもしれませんが、活動が鈍っている時期に環境を変えると金魚にとって大きな負担になることも少なくありません。
世話が必要ない理由も詳しく解説していきますので、ご覧になってみてください。
冬眠する前にやっておいたほうが良い準備と室内飼育で越冬させる方法は後ほど、ご紹介します。
冬眠中は餌やりを控える
金魚の冬眠中は餌やりを控えましょう。
冬眠中は活動量が落ちるので、少ないエネルギーで生きることが可能です。たとえ餌やりをしても口に入れることがないため、食べ残しが増えて水が汚れてしまいます。
金魚は水温が15℃を下回ると食べる餌の量が少なくなり、冬眠に入る10℃付近では完全に食べなくなります。
- 餌をやっても金魚が反応しない
- 水温が10℃付近
という順に確認して冬眠状態とわかったら餌やりを止めます。
冬越し期間の注意点としては、一時的に水温が上がって金魚が活動しても餌を与えないようにしてください。
餌を食べた後に急に冷え込めば消化不良につながり、体調をくずしてしまう可能性があります。
金魚の餌やりは、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫金魚の餌やりは1日何回がベスト?餌の頻度・量と与える時間帯について【季節で変わる】
水換えは冬眠明けまで不要
冬眠中は餌やりをせず水が汚れることもないため、水換えは不要です。
冬眠中の金魚は低水温に耐えている繊細な状態なので、水換えによる水温や水質の変化が負担になります。
冬眠で体力も落ちているので、環境変化はできるだけ少なくしてあげましょう。
金魚水槽の水換えについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫金魚水槽の水換え方法と理想的な頻度・水量を解説!1ヶ月に何回がベスト?
足し水して水位を下げない
金魚を安全に冬越しさせるためには、足し水して高い水位を維持することが重要です。
金魚は水温が5℃以下になっても耐えられる強い魚ですが、飼育水が表層から底層まで凍結すると死んでしまいます。
水質や水温の変化による金魚の負担を減らすためにも足し水は、
- バケツに水道水をためる
- カルキ抜きを入れて塩素を除去する
- 飼育容器の横に置いて水温を合わせる
- 足し水する
という順序で行います。勢いよく注ぐと水流ができてしまうため、できるだけ少しずつ注水しましょう。
水位は20~30cmあれば、完全に凍結してしまうことはありません。水が10cm以下しか入らない飼育容器は冬眠前に交換するほうが無難です。
フタやすだれを使って凍結対策
水面からの冷気を防ぐ方法として、フタやすだれを被せる方法がおすすめです。
水面が凍っても金魚は無事ですが、水温の変化が少ないほうが金魚の負担も減ります。
雪が入ることで水質が変化してしまうこともあるため、1つは用意しておきましょう。
どんなものでもかまいませんが、断熱効果の高い発泡スチロール製のフタがおすすめです。
エアレーションは必要ない
金魚を冬越しさせる場合は、エアレーションしなくても問題ありません。
むしろ水流があると、金魚がじっとできず体力を消耗してしまうため控えましょう。
ただ、水流があることで水が凍結しにくいので、寒さが厳しい地域の場合はエアレーションを最弱にして使うこともあります。
冬眠前にやっておきたい金魚の冬越し対策
ここからは、金魚が冬眠する前から準備して冬越しの成功率を上げる方法を3つご紹介します。
- 飼育水をグリーンウォーターにして栄養補給
- 発泡スチロール製の飼育容器もおすすめ
- 冷え込む地域は室内や玄関に飼育容器を移す
冬眠が始まってからでは難しいので、より安全に冬越しさせたい場合は10月後半~11月に準備しておきましょう。
※あくまで成功率を上げる方法なので、実践しなくても冬越しさせることは可能です。
飼育水をグリーンウォーターにして栄養補給
飼育水をグリーンウォーターにすることで、餌やりをしなくても金魚に栄養補給ができます。
グリーンウォーターは青水(あおみず)とも呼ばれる植物プランクトンが繁殖した水です。豊富な植物プランクトンによって、水が緑色に見えるのが名前の由来。
金魚は雑食性なので、動物性の餌だけでなく植物性の水草やコケも食べます。
グリーンウォーターに含まれる植物プランクトンも栄養として吸収できるため、餌やりをできない冬眠中にはおすすめです。
植物プランクトンは低水温では繁殖しにくいため、水温が下がる前の秋頃にはグリーンウォーターにしておく必要があります。
植物プランクトンは日光が当たって水中に栄養があれば増えるため、屋外飼育では自然とグリーンウォーターになることも珍しくありません。
また、市販のクロレラ(植物プランクトン)を入手して飼育水に添加することで簡単に作ることもできます。
一度グリーンウォーターになれば、その水を使うことで新たに作ることも可能です。
グリーンウォーターの作り方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫メダカの栄養水!グリーンウォーター(青水)を簡単・早く作る方法【写真付き】
発泡スチロール製の飼育容器もおすすめ
断熱効果の高い発泡スチロール製の飼育容器を使うことで、低水温・凍結対策になります。
水温の変化が少なくなるので冬越しの成功率は上がりますが、発泡スチロール製でないと越冬できないわけではありません。
より安全に春を迎えたい場合におすすめの方法です。
冷え込む地域は室内や玄関に飼育容器を移す
東北や山間部のとくに冷え込む地域では、室内や玄関に飼育容器を移すのも1つの手です。
気温があまりにも下がり過ぎて凍結したり、大雪で飼育容器が押しつぶされたりする場合に効果的です。
例年の気温や降雪量から判断して越冬が難しいようであれば、飼育容器を室内や玄関など冷え込みが和らぐ場所に移動させましょう。
室内飼育で金魚を越冬させる方法
室内飼育では屋外ほど水温が下がらないので、越冬方法も簡単です。
とはいえ、水温の変化に合わせた餌やりや水換えなど、室内飼育であっても注意したほうがよいことがあるので目を通してみてください。
≫金魚水槽の立ち上げ方と作り方 | 水槽設置から金魚を泳がせる1~12の詳しい手順
ヒーターを使う:暖かい時期と同じ飼育方法
室内飼育で水槽用ヒーターを使っている場合は、水温が下がらないので暖かい時期と同じ飼育方法でかまいません。
餌やりや水換えの頻度も同じです。ただ、水換えでは必ず水温を合わせてから水槽に入れるようにしましょう。
≫【選び方】金魚におすすめのヒーター6選!30・45・60cm水槽ごとに解説
≫金魚の餌やりは1日何回がベスト?餌の頻度・量と与える時間帯について【季節で変わる】
ヒーターを使わない:水温を確認して飼育方法を変える
水槽用ヒーターを使わない場合は水温が下がるので、飼育方法を変える必要があります。
金魚は水温が15℃以下になると活動量が落ちるため、1日2回餌やりをしているなら1日1回にします。餌やりの頻度が半分になれば水も汚れにくいので、水換えも2週間に1回に設定している場合は月に1回で十分です。
水温が10℃付近になれば室内といっても冬眠に入るため、餌やりや水換えは必要ありません。
まとめ:冬の金魚飼育と冬越し方法!冬眠中に世話をすると逆効果って本当?
今回は、冬の金魚飼育と冬越し方法をご紹介しました。
金魚は水温が5℃程度になっても耐えられますが、飼育水が凍結すると死んでしまいます。表層から底層まで凍ってしまわないよう足し水したり、フタをしたりして凍結・低水温対策しましょう。
また、餌やりや水換えといった「世話をしない」ことが金魚の負担を減らすことにもつながります。
金魚が安全に春を迎えるためにも、冬越しできる環境を整えてあげましょう。