グリーンウォーターは青水(あおみず)とも呼ばれ、メダカ稚魚の生存率の向上や成魚の増体・色揚げ効果があります。
とはいえ、いざグリーンウォーターを作ろうとしても、
- 卵を産んだ!稚魚用のグリーンウォーターを早く作る方法はある?
- 手間をかけたくない!簡単に作れる?
- グリーンウォーターにならない・透明になるのはなぜ?
など、初心者の方が悩みやすいポイントは少なくありません。
そこで今回は、メダカ飼育に役立つ理由と適切な濃さ、透明になってしまう原因をふまえて、グリーンウォーターの作り方をご紹介します。
グリーンウォーターを活用できれば、成魚まで成長できる稚魚が増えたり、より大きく色鮮やかに育ったりしやすくなります。
目次
グリーンウォーターがメダカ飼育に役立つ理由
メダカ飼育にグリーンウォーターを使う目的は次の3つです。
- 植物プランクトンがメダカ稚魚の餌になる
- 成魚には栄養補給と増体効果が期待できる
- ミジンコやゾウリムシを増やすときに役立つ
有効活用することでメダカ飼育がグッと楽になります。
植物プランクトンがメダカ稚魚の餌になる
グリーンウォーターの正体は、「植物プランクトン」です。
植物プランクトンが自然発生・増殖することで、飼育水が緑色に染まりグリーンウォーターになります。
植物プランクトンは、雑食性のメダカにとって餌になりますが、とくに稚魚に最適です。
生まれて間もない口の小さな稚魚でも問題なく食べられる大きさですし、常に栄養補給できる環境を整えられます。
稚魚期は餓死しやすいため、メダカ飼育で一番難しい時期といっても過言ではありません。
とはいえ、栄養豊富なグリーンウォーターで飼育すれば、生存率を上げることにつながります。
グリーンウォーターを含むメダカ稚魚の餌については、こちらの記事をご覧ください。
≫メダカ稚魚の飼育完全ガイド!おすすめの餌・水換え・飼育容器と生存率を上げる方法
成魚には増体と色揚げ効果が期待できる
グリーンウォーターはメダカ稚魚だけでなく、成魚の飼育にも役立ちます。
飼育水を栄養豊富なグリーンウォーターにすることで、より大きくきれいに育ちやすくなります。
ただ、水が緑色に色付くことで、メダカを観察しづらくなる点には注意しましょう。
また、常に栄養補給できる状態なので、旅行や出張時など家を空ける際の非常食にも効果的です。
メダカの色揚げと観賞性を重視してグリーンウォーターにしたくない場合や長期間家を空けるときの餌やりについては、こちらの記事をご覧ください。
≫メダカがキレイになる6つの色揚げ方法!飼育容器・餌・環境が体色を決める
≫メダカの水が緑色になる| グリーンウォーターの原因と透明にする方法
≫旅行や留守でメダカに餌をあげられない!餌なしで大丈夫な期間と無人の餌やり方法
ミジンコやゾウリムシを増やすときに役立つ
メダカ稚魚の成長や成魚の増体には、ミジンコやゾウリムシといった生き餌も使いますが、グリーンウォーターは生き餌の増殖に役立ちます。
グリーンウォーターに含まれる植物プランクトンが、ミジンコ・ゾウリムシなど動物プランクトンの餌になるためです。
生き餌の与え方や管理方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫メダカ稚魚の飼育完全ガイド!おすすめの餌・水換え・飼育容器と生存率を上げる方法
グリーンウォーターを簡単・早く作る方法!
ここからは、実際に行っているグリーンウォーターの作り方をご紹介します。
- 手間をかけず簡単に作る
- 時間をかけず早く作る
この2通りの方法をご紹介するので、ご覧になってみてください。
簡単に作る:飼育水を日当たりの良い場所に2週間~1ヶ月ほど置く
植物プランクトンは水があれば自然発生しますが、グリーンウォーターになるほど増殖するためには「栄養」と「日光」が必要です。
餌の食べ残しやフンなどによって汚れた水が植物プラントンにとっての栄養になるので、メダカの飼育水を使います。
- メダカの飼育水をバケツ・ペットボトルなど別の容器に移す
- 飼育水を日当たりの良い場所に2週間~1ヶ月ほど置く
これだけでグリーンウォーターを作ることが可能です。
飼育水だけでもグリーンウォーターは作れますが、メダカや金魚などを日当たりの良い屋外で飼育するほうが植物プランクトンが早く増殖します。
餌の食べ残しやフンなどが常に供給されるためです。
ただ、水草や底砂など、水をきれいにする効果があるものを入れるとグリーンウォーターになりにくいため注意してください。
グリーンウォーターにならない原因と対処法は、後ほど詳しくご紹介します。
飼育水を使ってグリーンウォーターを作る方法は時間がかかるので、卵の孵化や稚魚の飼育など、必要な時期を見越して早めに準備するようにしましょう。
飼育水がない場合はハイポネックスを使う方法もあり
メダカの卵や稚魚を入手して育てる場合は飼育水を確保できないので、「ハイポネックス」という園芸用の液体肥料を使う方法がおすすめです。
ハイポネックスが餌の食べ残しやフンと同じ役割をするため、植物プランクトンの栄養になります。
ハイポネックスを使ったグリーンウォーターの作り方は次のとおりです。
- バケツに水道水をためてカルキ抜きを添加する
- ハイポネックスを水10Lあたり2ml入れる
- 日当りの良い場所に1~2週間ほど置く
水道水に含まれる塩素(カルキ)は植物プランクトンに悪影響なので、カルキ抜きを添加・除去してから使いましょう。
早く作る:クロレラを添加して3日~1週間ほど置く
グリーンウォーターを早く作りたい場合は、植物プランクトンの「クロレラ(緑藻類)」を種水にする方法がおすすめです。
植物プランクトンを直接入れて増殖させるため、他の方法よりも早くグリーンウォーターになります。
クロレラを使ったグリーンウォーターの作り方は次のとおりです。
- 飼育水をバケツやペットボトルなど別の容器に移す
- 容器にクロレラを水10Lあたり1ml入れる
- 日当たりの良い場所に3日~1週間ほど置く
入れるクロレラは多少多くても問題ありません。
クロレラを薄めて使うよりも種水にして、多量のグリーンウォーターにしてから使うほうが長期的に利用できるのでおすすめです。
グリーンウォーターの与え方と濃さ・種類について
ここからは、作ったグリーンウォーターの与え方と適切な濃さ・種類についてご紹介します。
グリーンウォーターがメダカ飼育に役立つとはいえ、与え方や濃さを間違えると効果が薄かったり、悪影響を与えたりすることがあります。
また、増殖した植物プランクトンの種類によって品質の良し悪しが変わるため、見分けられることも大切です。
作ったグリーンウォーターは飼育容器に添加して使う
作ったグリーンウォーターは、小さな容器やペットボトル・オタマなどを利用してメダカの飼育容器に添加して使いましょう。
「いちいち添加しなくても、グリーンウォーターの容器で直接メダカを飼えばいいのでは?」と思うかもしれませんが、水換えや餌をやりながら一定の濃度に保つのは簡単ではありません。
それよりも、グリーンウォーターの容器とメダカの飼育容器を分けて、必要に応じて添加するほうが扱いやすいです。
濃さは飼育容器の底が薄っすら見える程度がおすすめ
グリーンウォーターを添加する場合は、「飼育容器の底が薄っすら見える程度」に濃さを調節します。
薄すぎると餌としての効果が薄れますし、濃すぎると植物プランクトンが酸素を消費して酸欠につながります。
植物プランクトンは、陸上の植物や水中の水草のように日中は光合成して酸素を出します。しかし、夜間には酸素を吸収して二酸化炭素を出す「呼吸」を行うため、植物プランクトンが大繁殖した濃いグリーンウォーターでは酸欠になりやすいです。
とはいえ、極端に濃くなければ問題ありません。また、飼育容器の底が見えないとヤゴなどの天敵が侵入した際に気付きづらくなります。
酸欠と天敵の侵入を防止するためにも、飼育容器の底が薄っすら見える程度の濃さがおすすめです。
≫メダカを食べる天敵16種!屋外飼育では食べられる前に対策しよう!
良いグリーンウォーターは「緑藻類」が増殖した水!
実はグリーンウォーターには、品質の良し悪しがあります。
見た目はよく似ていますが、
- 品質が良い:緑藻類が増殖
- 品質が悪い:藍藻類(シアノバクテリア)が増殖
といったように増殖したものが異なります。
緑藻類はメダカの良い餌になる一方で、藍藻類(らんそうるい)は酸欠の原因になったり、毒素を出したりなど悪影響が大きいです。
見た目から判断することは難しいものの、藍藻類が増殖したグリーンウォーターは「不快な臭いがする」のが特徴です。
グリーンウォーターを作る過程で藍藻類が増殖してしまった場合は、すべて捨てて新しく作り直しましょう。
失敗したくない場合は、クロレラを種水にしてグリーンウォーターを作ることで、確実に緑藻類が増殖した状態になります。
グリーンウォーターにならない・透明になる原因と対処法
ここからは、グリーンウォーターにならない、なっても透明に戻ってしまう場合の原因と対処法を解説します。
グリーンウォーターに必要なものは、
- 日光
- 餌の食べ残しやフンといった水中の栄養
この2つなので、日照時間が少なかったり、水中の栄養を吸収するものを入れていたりするとグリーンウォーターにならないことがあります。
日照時間が短い
グリーンウォーターの植物プランクトンが増殖するためには日光が必要なので、日照時間が短いとグリーンウォーターにならなかったり、できるまでに時間がかかったりします。
ただし、強い日差しによってあまりに水温が上がると植物プランクトンに悪影響なので、高水温には注意する必要があります。
水温が高すぎる
植物プランクトンは、水温が高いと増殖しづらくなります。
水温は25~30℃が理想なので、日差しがあまりにも強く高水温が心配な場合は「すだれ」を設置して水温の上昇を抑えましょう。
一時的に日光をさえぎることになりますが、そもそも高水温では増殖しづらくなるため、日照時間よりも水温に気をつかうほうが無難です。
水草・タニシ・底砂・ろ過フィルターを入れている
植物プランクトンの増殖に不可欠な水中の栄養を吸収したり、水をきれいにしたりする生体やものが一緒ではグリーンウォーターになりにくいです。
具体的には次の4つです。
- 水草:根や葉から水中の栄養を吸収する
- タニシ:濾過摂餌(ろかせつじ)によって水中の栄養を吸収する
- 底砂:水質浄化作用がある
- ろ過フィルター:水をろ過してきれいにする
どれもメダカの飼育では水質改善に効果的ですが、グリーンウォーターを作ったり、維持したりする場合には逆効果なので一緒にしないようにしましょう。
まとめ:メダカの栄養水!グリーンウォーター(青水)を簡単・早く作る方法【写真付き】
今回は、メダカ飼育に役立つ理由と適切な濃さ、透明になってしまう原因をふまえて、グリーンウォーターの作り方をご紹介しました。
グリーンウォーターに含まれる植物プランクトンは稚魚の成長や成魚の増体に効果的で、日光と餌の食べ残しやフンなど水中の栄養があれば自然発生・増殖します。
- 簡単に作る:飼育水を日当たりの良い場所に2週間~1ヶ月ほど置く
- 早く作る:クロレラを添加して日当たりの良い場所に3日~1週間ほど置く
といったように作り方によって必要な時間と手間が変わるため、卵の孵化や稚魚の飼育を始めるタイミングに合う作り方を選ぶことが大切です。
グリーンウォーターを使うことで、稚魚の生存率が上がったり、より大きくきれいな成魚に育てやすくなったりするので、ぜひ、メダカ飼育に活用してみてください。