金魚は屋外で簡単に飼えるイメージがあるので、飼育容器があれば水をためて金魚を放して終わり、という想像をしてしまいます。
しかし、実際は、
- 日当たりを考慮した飼育容器の置き場所
- 金魚に負担をかけずに飼育容器へ入れる方法
など、屋外飼育を始めるためには正しい工程があります。1つ1つの作業は簡単ですが、注意しないと飼い始めから金魚が弱ってしまうことも珍しくありません。
ここでは安全に飼い始めるために、金魚の屋外飼育のはじめ方をご紹介します。
金魚の屋外飼育を始めるための順序が1~10までわかることはもちろん、飼い始めから金魚が体調不良になるミスを防ぐことが可能です。
目次
金魚の屋外飼育のはじめ方
金魚の屋外飼育の始め方を実際の手順にそってご紹介します。
金魚の屋外飼育に必要なものが準備できていない場合は、こちらの記事をご覧ください。
≫金魚の屋外飼育のはじめ方 | 飼育容器の置き場所から金魚を入れるまで
飼育容器の置き場所を決める
飼育容器の置き場所を決めるポイントは次の3つです。
- 日光が適度に当たる
- 雨風の影響が少ない
- 人通りがあまりに多い場所は避ける
金魚にとって日光は欠かせないものです。生活リズムが整うだけでなく、丈夫に育ったり、色が揚がったりなどメリットは少なくありません。
とはいえ、夏の日差しが強いときに長時間日光が当たると高水温で弱ってしまう可能性があるので、8時間程度を目安に日光が当たる置き場所を選びましょう。
また、雨は水温や水質の急変につながるため、飼育容器に入れない方が良いです。軒下など、雨が差し込みにくい場所がおすすめです。
軒下などがない場合は、飼育容器にフタをすることで雨を防ぎます。
金魚は人に慣れやすい魚なので神経質になることはありませんが、できれば人通りの多い場所も避けた方がストレスは少ないです。
人が歩く振動や人影、扉が開閉する音などで驚いてしまうので、落ち着ける場所に飼育容器を置きましょう。
水をためる
飼育容器の置き場所が決まったら、水をためていきます。
満水にすると金魚が飛び出てしまうため、水量は飼育容器の8割程度にしましょう。
水道水を使いますが、このときにカルキ抜きを入れる必要はありません。
魚に有害な塩素(カルキ)は、日光が当たる場所で1~2日経過すればなくなります。水をためてもすぐに金魚を入れるわけではないので、泳がせるころには無害な水になっています。
ただ、水換えには必要なのでカルキ抜きは用意しておきましょう。
底砂を敷くならこのタイミングで
飼育容器に底砂を敷く場合は、水をためる前に行います。
底砂はバケツに移して、3~5回ほど洗ってから飼育容器に入れましょう。
最初は水が濁りますが、2~3日もすれば透明になります。
底砂の厚さは3cm、水草を入れるなら4cm程度が目安です。流木や石といったレイアウトアイテムを入れたい場合は、底砂を敷いて水を入れる前に配置します。
金魚におすすめの底砂は、こちらの記事をご覧ください。
≫金魚水槽におすすめの底砂7選!砂利・砂・ソイルの選び方と相性
1週間そのまま待つ
飼育容器に水をためたら、そのまま1週間待ちます。
この状態の水には水中の有害なものを分解してくれるバクテリアがいないので、金魚の飼育に適した水ではありません。
- バクテリアとは
- 魚のフンや餌の食べ残しから発生する有害なアンモニアを亜硝酸に変えて、最終的にほぼ無害な硝酸塩にしてくれる細菌です。なにもしなくても発生して時間の経過とともに増えていきます。
1週間ほどしてバクテリアが増えるまでは、金魚を入れるのは控えましょう。
最悪の場合、アンモニア・亜硝酸中毒になって弱ってしまいます。
水草を入れるならこのタイミングで
水草を入れたり、植えたりする場合は、この1週間の間に配置します。
植え込む種類でなければ、金魚を泳がせてからでも問題ありません。
金魚水槽におすすめの水草は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫金魚におすすめの水草9選!繁殖力が高い&食べられない種類選びが重要
水合わせをして金魚を入れる
水をためて1週間経過したら金魚を入れます。
ただし、いきなり入れると水温や水質の急変によるショック症状(水温・pHショック)を起こしてしまうため「水合わせ」が必要です。
- 金魚を袋ごと飼育容器に30分ほど浮かべて水温を合わせる
- 袋からバケツに移動させる
- ソフトチューブで飼育容器の水をバケツに少しずつ入れて水質を合わせる
- バケツの水が倍になったら網で金魚を飼育容器に移動させる
飼育容器の水を30~60分かけて少しずつ入れていくことで、金魚が水質に慣れます。
ソフトチューブがない場合は、調理器具のオタマやカップなどで少しずつ水を注ぐ方法でも問題ありません。
水合わせの方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫【熱帯魚やメダカ】簡単で魚にやさしい水合わせ方法!pHショックの危険性も解説
餌やりは翌日にする
飼育容器に入れたばかりの金魚は新しい環境に慣れていないため、底の方でじっとして動かないことが多いです。
餌をやっても食べずに残してしまう可能性が高いので、餌やりは翌日にしましょう。翌日でも食べなければその次の日にします。
金魚は1週間程度なら餌を食べなくても問題ありませんが、食べ残しによる水質悪化は体調不良につながります。
金魚に餌を与えて食べる素振りを見せたら1日2回を目安に餌やりをしましょう。1回の餌の量は2~3分で食べ終わる程度が目安です。
金魚の餌やりとおすすめの餌は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫金魚の餌やりは1日何回がベスト?餌の頻度・量と与える時間帯について【季節で変わる】
≫【厳選】金魚におすすめの餌7選!体型・成長・コスパ・色揚げに特化した餌の選び方
2週間~1ヶ月に1回水換えする
金魚が落ち着いて餌も食べるようになったら、水換えをしましょう。
水換え頻度の目安は、2週間~1ヶ月に1回です。
1回に換える水の量は飼育容器の1/3程度が目安です。一度に多量の水を換えると、水質が急変して金魚に良くありません。
水換えには水道水を使いますが、カルキ抜きを入れて塩素を除去してから使います。
飼育容器の横に水換え用の水を30分~1時間ほど置いて水温を合わせて、ゆっくり注いでいきましょう。
- 金魚の動きが鈍い
- 水が濁っている
- 水から嫌な臭いがする
といった場合は、水が汚れている可能性があるので頻度にかかわらず、その場で水換えします。
水換え用のホース「プロホース」があると、手で数回ポンプを押すだけで排水できるので便利です。底砂の掃除も一緒にできます。
金魚水槽の水換えについては、こちらの記事をご覧ください。
≫金魚水槽の水換え方法と理想的な頻度・水量を解説!1ヶ月に何回がベスト?
金魚の屋外飼育の注意点
金魚の屋外飼育の注意点と失敗しやすいポイントをまとめました。
事前に対策することで金魚が体調をくずしたり、死んでしまったりすることが少なくなるので、参考にしてみてください。
夏の高水温と冬の低水温対策する
金魚は水温の変化に強い魚なので、15~28℃の水温なら健康的に飼育できます。
しかし、35℃を近い水温は金魚を消耗させますし、10℃以下になると冬眠に入って動かなくなります。
低水温に強いとはいえ、水面から底まで水が凍結すると死んでしまいます。
水温変化はできる限り少ない方が良いので、
- 夏はすだれを使って強い日差しを遮る
- 冬は水位を高くして底まで凍らないようにする
など、高水温・低水温対策しましょう。
夏と冬の金魚飼育については、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫【夏の金魚飼育】金魚水槽の暑さ対策12選!高水温や酸欠で弱らせない方法
≫冬の金魚飼育と冬越し方法!冬眠中に世話をすると逆効果って本当?
雨が入らないようにフタを忘れない
飼育容器に雨が入ると、水質と水温が急変して金魚の体調不良につながります。
飼育容器の置き場所が雨の吹き込む場所ならフタを用意しておきましょう。フタでなくても、シートを被せるだけで雨は防げます。
屋外飼育の雨対策は、こちらのメダカの記事で詳しく解説しています。
≫【梅雨】メダカの飼育容器に雨を入れない!雨水の影響とあふれさせない対策
金魚を食べてしまう天敵に気を付ける
屋外飼育では金魚を食べてしまう天敵に注意しましょう。
- ヤゴ
- アライグマ
- ハクビシン
- カワセミ
- サギ
といった生き物は金魚をよく狙います。
水生昆虫や鳥類は園芸・防虫ネットを被せる方法がおすすめです。水生昆虫は防げませんが、金網を乗せるだけでも鳥類の被害は減らせます。
アライグマやハクビシンなどの哺乳類は力が強いため、金網に重しを乗せて対策しましょう。
屋外飼育で気を付けたい魚を食べる生き物と対策は、こちらの記事をご覧ください。
≫メダカを食べる天敵16種!屋外飼育では食べられる前に対策しよう!
まとめ:金魚の屋外飼育のはじめ方 | 飼育容器の置き場所から金魚を入れるまで
今回は、金魚の屋外飼育のはじめ方をご紹介しました。
金魚の屋外飼育は、
- 飼育容器の置き場所を決める
- 水をためる
- 1週間そのまま待つ
- 水合わせをして金魚を入れる
- 餌やりは翌日にする
- 2週間~1ヶ月に1回水換えする
この6つの工程で始めることができます。コツはあるものの難しいことではないので、ゆっくり確認しながら実践してみてください。