金魚は丈夫で、飼育のハードルが低い魚です。
お子さんが飼いたいとねだったり、金魚すくいですくったりして飼育を始める人は少なくありません。しかし、丈夫とはいえ生き物なので、
- 底や水面でじっとしている
- 泳ぎ方に元気がなくフラフラしている
- 餌を食べない
など、体調をくずしてしまうことも。原因がわからないと不安なうえに、症状が悪化して死んでしまう可能性もあります。
ここでは、金魚が動かない10の原因と底や水面でじっとして元気がないときの対策をご紹介します。
目次
金魚が動かないのは必ず原因がある | 水温変化・体調不良・病気を疑おう
金魚が動かない、元気がないといっても、次のようなケースがあります。
- 底や水面で動かずじっとしている
- 水面で口をパクパクしている
- 元気がなく漂うように泳いでいる
- ヒレが伸びていない
- 餌を食べない
など、普段と様子が違えば金魚に異変がある可能性が高いです。
体調不良や病気はもちろん、水温の変化で起こることもあります。なかには対処しなくても問題ない場合もあるので、症状の見定めが重要です。
金魚が動かない10の原因!底や水面でじっとして元気がないときの対策
金魚が動かなかったり、元気がなかったりする10の原因をご紹介します。
対策も合わせて解説するので、金魚の症状と照らし合わせて可能性が高い方法を実践してみてください。
水温の低下による活動量の減少
金魚は、水温が低下すると活動量が減少して動きが鈍くなります。
金魚の飼育に適した水温は15~28℃なので、15℃を下回るにつれて活動量が減り10℃に近付くと動きや餌への反応が少なくなります。
このケースは水温の変化が激しい屋外飼育がほとんどです。
とはいえ、室内飼育でも水温が15℃を下回ってきた場合は、十分あり得ます。
対策:冬眠させる・水槽用ヒーターの使用
前提として、水温計を設置して水温を確認するようにしましょう。
水温が下がっていることがわかれば、金魚の異変を水温の低下に結びつけることができます。そのうえで、室内飼育の場合は、
- そのまま飼育する
- 水槽用ヒーターで加温する
この2択になります。
金魚は、熱帯魚と違って低水温に耐性があります。活動量や餌を食べる量は減りますが、そのまま飼育しても問題ありません。
ただし、室内の暖房を使っていて水温の上昇・低下が激しい場合は、水槽用ヒーターで加温する方法をおすすめします。
冬でも適水温の18℃以上に調整できるので、金魚の活動量が変わることもありません。
注意点として、製品にもよりますが水槽用ヒーターは電気代が1ヶ月に1000円ほどかかります。
とはいえ、金魚の体調が安定しますし、低水温による消化不良を防ぐメリットもあります。
屋外飼育の場合は、次の方法でそのまま冬眠させましょう。
- 水量を多くする
- すだれやフタをして水温の低下を抑える
- エアレーションをしない
低水温に耐性があるといっても水が凍ってしまえば死んでしまうので、水量を多くしたうえで足し水して水位を保ちます。
また、すだれやフタをして水面からの冷却を抑える方法も効果的です。
冬眠に入っている金魚には、エアレーションの水流が負担になるため控えましょう。
冬眠状態であれば活動量が低下して必要な酸素量も少ないので、酸欠の心配はありません。
冬の金魚飼育と低水温対策、おすすめの水槽用ヒーターは、こちらの記事で詳しく解説しています。
水温の上昇による活動量の減少
金魚は、水温が上昇しても活動量が減ります。
適水温の上限である28℃までなら問題ありませんが、30℃を超え35℃にもなれば水温が高すぎて金魚の動きが鈍くなります。
水温が高すぎると底でじっとすることもありますが、中層から水面近くでフラフラとした泳ぎ方になることも少なくありません。
対策:水槽用冷却ファンやすだれを使う
低水温と同様、水温計による水温の確認は前提として、室内飼育の場合は水槽用冷却ファンを使いましょう。
屋外飼育なら、すだれやフタを被せて強い日差しを遮る方法が効果的です。
夏の金魚水槽の暑さ・高水温対策は、こちらの記事で詳しく解説しています。
水が汚れて水質が悪化している
水質が悪化した環境で飼育をつづけると、金魚が体調をくずします。
水が汚れている判断の目安は次のとおりです。
- 水が濁っている
- 水槽から嫌な臭いがする
- 底にゴミがたまっている
これらの状況にくわえ、金魚の様子が普段と違えば水質の悪化を疑います。
対策:定期的な水換えと給餌量の見直し
水換えの頻度が低いことが原因なので、定期的な水換えを徹底しましょう。
2週間に1回、水槽全体1/3の水量が目安です。夏は水温が上昇して水が汚れやすいため、週に1回でも問題ありません。
また、餌のやり過ぎも水質悪化につながります。1日2回、2~3分で食べきれる量を目安にしましょう。
金魚の水換えと餌やりについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
消化不良を起こしている
金魚の元気がなかったり、泳ぎ方が不自然だったりする場合は「消化不良」を起こしていることがあります。
悪化すれば腹部を水面に向けて浮かんでしまう転覆病(てんぷくびょう)につながることもあるため要注意です。
対策:断食させる・水温を上げる
消化不良になったら、次の方法が効果的です。
- 3日~1週間の断食
- 消化しやすい餌を与える
- 水温を20℃以上に上げる
断食によって腸内の餌をなくすことによって、ガスが発生しなくなり消化不良が改善します。
その間にくずれた消化能力も戻りやすいため、1番に試してほしい方法です。
また、低水温による消化能力の低下も原因の1つなので、水槽用ヒーターを使って20℃以上、できれば25℃程度に保温する方法も効果的です。
これらの方法は消化不良になってから実践することです。
普段からできる予防法もご紹介します。
- 古い酸化した餌をあげない、消費期限を守る
- 水温が低い場合は餌の量を減らす
消費期限が過ぎていたり、古く酸化したりしている餌は消化不良を起こしやすいので避けましょう。
普段から水槽用ヒーターを使用することで、消化不良のリスクを減らすこともできます。
水温ごとの餌やりの回数・量については、こちらの記事で解説しています。
断食後の餌には、消化しやすいこちらの餌がおすすめです。
水面で口をパクパクしているなら酸欠の可能性あり
水面で口をパクパクしていたり、フラフラと力なく泳いだりしていたら酸欠を疑いましょう。
金魚は水中の酸素が少なくなると、口を上げながら水面近くを泳ぐようになります。餌への反応が鈍ることも少なくありません。
1匹だけでなく、複数の金魚に同じ症状がでていたら酸欠の可能性が高いです。
対策:エアレーションする
酸欠対策は簡単で、エアレーションで水中の酸素量を増やすことですぐに改善します。
酸欠対策のために、室内飼育の場合は電源式、屋外飼育であれば乾電池式のエアーポンプを1つ用意しておきましょう。
水温が高いと水に溶け込む酸素の量が少なくなるため、夏は特に注意してください。
他の金魚に追いかけられ消耗している
つついたり、追いかけたりなど、金魚同士の「けんか」が原因の可能性があります。
いじめられた金魚は、隠れるように水槽の端で動かなくなることも少なくありません。観察していれば目立つので、わかりやすい原因です。
対策:隔離する・隠れ家を増やす
1番効果的な方法は隔離です。
いじめられている金魚を別の水槽に移すことで、攻撃対象になることはなくなります。隔離水槽の用意が難しい場合は、水槽内に隠れ家を用意しましょう。
また、金魚は水草を食べるので、マツモやアナカリスのような成長速度の速い種類が向いています。もしくは、葉が硬く食べられないアヌビアスナナもよいでしょう。
金魚のケンカ対策とおすすめの水草は、こちらの記事で詳しく解説しています。
病気の初期症状
病気は症状が進むと体表に異常が現れますが、初期症状では明確に判断できないことも少なくありません。
ただ、泳ぎ方がおかしかったり、あまり動かなくなったりなど、行動に異変が現れることがよくあります。
対策:病気の特定と薬浴
元気がないと感じたら金魚の体を注意深く観察して、症状が現われていないか確認しましょう。
金魚がなりやすい病気と体(体表)の異変は次のとおりです。
病名 | 症状 | 魚病薬 |
白点病 | 体やヒレに小さな白い点が現れる | メチレンブルー |
水カビ病 | 体表に綿毛のようなカビが付着 | ニューグリーンF |
尾ぐされ病 | ヒレが白く濁る、傷付く | グリーンFゴールド、エルバージュエース |
すでに症状が現われている場合は、直接的な効果がある魚病薬で薬浴します。
手順と濃度は魚病薬の容器や箱に記載してあります。とはいえ、初期症状のみで普段と様子が違うだけでは薬浴の判断はできません。
その場合は、金魚の回復力を高める「塩水浴」がおすすめです。
塩水浴については、後ほどご紹介します。
立ち上げたばかりの水槽に金魚を入れている
立ち上げたばかり(水を入れてすぐ)の水槽に金魚を入れると、体調をくずす可能性が高いです。
そのまま蓄積すると中毒症状を起こして、泳ぎ方が普段と違ったり、底でじっと動かなくなることがあります。
対策:水換えをする
水槽を立ち上げたばかりで金魚の元気がない場合は、水換えして有害なアンモニアを排出しましょう。
水量の目安は水槽全体の1/2程度です。すべての水を換えてしまうと、水質が急変して金魚に大きな負担をかけてしまうため控えます。
水槽を立ち上げたら金魚を入れず、バクテリアが繁殖するまで待ちましょう。
目安は最低でも1週間です。
金魚水槽の立ち上げ方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
アンモニア中毒の判断が難しい場合は、試薬や試験紙を使うことでアンモニア濃度がわかります。
金魚が寝ている・休んでいる
金魚は寝たり、休んだりするときに底でじっとして動かなくなります。
体調不良と見分けが難しいかもしれませんが、睡眠時の金魚には、
- 餌をあげたり近付いたりしたら反応する
- 一度動き始めると泳ぎつづける(すぐに休まない)
といった特徴があります。
水槽に近付いても動かない、もしくは動いてもすぐに底でとどまってしまう場合は体調不良を疑いましょう。
対策:そっと見守る
金魚が寝ている、休んでいる場合は通常の生理現象なので対策する必要はありません。
ご紹介した睡眠時の特徴にくわえ、体表の異常(荒れている、白い点があるなど)を確認することも重要です。
金魚の寿命が近い
寿命が近い金魚は動きが鈍ってきます。
餌への反応が少なくなり、体力が落ちてしまうことも少なくありません。
他にも体色にツヤがなくなったり、ヒレをたたみがちになったりなど体にも変化が現れます。
対策:落ち着ける環境で飼育する
寿命なので、対策はありません。
強いていえば、
- 若い金魚との混泳を避ける
- 水槽用ヒーターで水温を安定させる
など、落ち着いて餌を食べやすく、変化の少ない環境を作ってあげましょう。
天寿をまっとうできるよう見守ってあげてください。
金魚が動かない・元気がないときは「塩水浴」がおすすめ
金魚が動かなかったり、元気がなかったりなど、異変があるけど判断できない場合は、「塩水浴」が効果的です。
塩水浴には、金魚の回復力を高める効果があります。
病気を治すものではありませんが、体調不良全般の対策になります。
塩水浴の手順は次のとおりです。
- 隔離用の水槽やバケツを用意
- 隔離容器に水道水をためてカルキ抜きを添加する
- 水合わせしつつ金魚を隔離容器に移動する
- 濃度0.5%(水1Lに塩5g)になるよう隔離容器に塩を溶かしながら少しずつ入れる
- 同じ塩分濃度の塩水を作り毎日すべての水を水換えする
- 水換えしつつ1週間を目安に塩水浴する
用意した隔離容器に水道水を入れるときは、後で塩分濃度を調節するために水量を確認することが重要です。
おすすめは水道水10Lで、塩を50g入れると、塩水浴の濃度になります。
塩水浴中は断食して、1週間以上長引くようであれば少量の餌をあげてください。
あくまで回復力を高めるものなので、病気の特効薬ではありません。体に病気の症状が現われたら薬浴に移行します。
まとめ:金魚が動かない10の原因!底や水面でじっとして元気がないときの対策
金魚が動かない10の原因と底や水面でじっとして元気がないときの対策をご紹介しました。
- 底や水面で動かずじっとしている
- 水面で口をパクパクしている
- 元気がなく漂うように泳いでいる
- ヒレが伸びていない
- 餌を食べない
といった金魚の異変に気付いたら、原因を特定して早めに対策しましょう。
判断ができない場合は、回復力を高める塩水浴で様子を見る方法が効果的です。病気の症状が現われているようであれば、薬浴します。
体調不良といっても、原因がわかりにくいことも少なくありません。
今回ご紹介した症状ごとの原因、そして対策をもとに金魚の体調不良の改善に役立ててみてください。早期発見・対策ができれば、それだけ改善する確率が上がります。