金魚を飼い始めて少しすると、「水が緑色に変わる」ことがあります。
なにもしていないのに飼育水が緑に染まると、
- 金魚の水が緑色になるのはなぜ?
- 緑色の水は金魚の健康に影響はない?
- 金魚の姿を観察できないから透明にする方法はある?
といった疑問を持ったり、透明な水に戻したかったりする人も少なくありません。
そこで今回は、金魚水槽や飼育容器の水が緑になる「グリーンウォーター」の原因と対処法をご紹介します。
金魚の水が緑色になる原因と対処法がわかり、透明な水で金魚が泳ぐ姿を観察できるようになります。
また、グリーンウォーターのメリットを活かして、稚魚の成長や成魚の色揚げに役立てることも可能です。
目次
金魚の水が緑色になる「グリーンウォーター」の原因とメリット・デメリット
緑色になった飼育水は、「グリーンウォーター」や「青水(あおみず)」と呼ばれます。
飼育水が緑に変わっていくと金魚に害がないか心配してしまいますが、基本的には無害なので心配する必要はありません。
むしろ金魚飼育ではメリットになるケースもあります。
ここでは、飼育水がグリーンウォーターになる原因とメリット・デメリットを解説するので、
- グリーンウォーターのまま飼育する
- 透明な水に戻す
といった判断の参考にしてみてください。
飼育水が緑色になる原因は「増殖した植物プランクトン」
金魚を飼っていて飼育水が緑色になるのは、「増殖した植物プランクトン」が原因です。
植物プランクトンは水があれば自然発生して、さらに「日光」と「栄養」があれば増殖をつづけます。
そのまま数が増えると、植物プランクトンが持つ緑色の葉緑素(クロロフィル)も多くなるため、飼育水が緑色に見えるようになります。
まとめると、
- 金魚の飼育水に植物プランクトンが自然発生する
- 日光と水中の栄養をもとに増殖する
- 植物プランクトンが持つ葉緑素が多くなることで飼育水が緑色に見える
といった流れです。
金魚の飼育水はグリーンウォーターになりやすい
魚を飼育していると、グリーンウォーターになることは珍しくありませんが、金魚はとくになりやすいです。
餌をよく食べてフンも多い魚なので、水中に栄養がたまりやすいためです。
また、植物プランクトンの増殖には「光」も欠かせませんが、照明で管理する室内飼育よりも光量の強い日光が当たる屋外飼育の方がグリーンウォーターになります。
グリーンウォーターのメリット:金魚の餌になる・色揚げ効果がある
グリーンウォーターは水が緑色になるだけでなく、金魚に栄養を供給する「餌」にもなります。
雑食性の金魚にとって植物プランクトンはよい餌になるので、飼育水がグリーンウォーターになると「常に餌を口にできる環境」になります。もちろん、それだけで大きく育てられるわけではありませんが、人工飼料などと併用することで体格の良い金魚に育てやすいです。
とくに、口が小さく食べられる餌が少ない稚魚とっておすすめで、グリーンウォーターで飼育するだけで生存率が上がることも少なくありません。
また、植物プランクトンには金魚の体色をきれいにする「色揚げ効果」があるため、成魚の飼育にもよく使われます。
金魚の飼育にグリーンウォーターを役立てたい方は、こちらのメダカの記事で作り方を詳しく解説しています。
≫メダカの栄養水!グリーンウォーター(青水)を簡単・早く作る方法【実例あり】
グリーンウォーターのデメリット:観察できなくなる・酸欠の可能性がある
メリットの多いグリーンウォーターですが、飼育水が緑に染まることで「観察しづらくなる」のはデメリットでしょう。
また、植物プランクトンは日中は光合成によって酸素を出しますが、夜間は酸素を吸収して二酸化炭素を出す「呼吸」を行うため、濃度が高すぎると水中の酸素が消費されて酸欠につながる可能性があります。
酸欠になると金魚の命にかかわるため飼育に活用する際には、「飼育容器の底が薄っすら見える程度」に濃度を調節する必要があります。
金魚水槽・飼育容器の水を緑から透明にする方法
「金魚が泳いだり、餌を食べたりする姿を観察したい」という方は、グリーンウォーターよりも透明な水が向いています。
ここでは、グリーンウォーター化した水を透明にする方法をご紹介します。
予防策としてもおすすめなので、ご覧になってみてください。
水換え・掃除の頻度を高くする
「植物プランクトン」と「増殖する原因になる水中の栄養」を水換えで減らします。
2週間~1ヶ月に1回など期間を決めている場合は、1週間に1回といったように頻度を高くする方法がおすすめです。同様に、底砂やろ過フィルターにも汚れとして栄養がたまりやすいので、掃除の頻度を高めてみてください。
ただ、直接的な効果があるものの、一度植物プランクトンが増殖すると水換えや掃除だけでは透明な水になりにくいため、他の方法と併用することをおすすめします。
金魚の水換えや掃除については、こちらの記事をご覧ください。
≫金魚水槽の水換え方法と理想的な頻度・水量を解説!1ヶ月に何回がベスト?
≫金魚水槽のコケを簡単に掃除する方法 |コケを生やさないコツは栄養と光
餌やりの頻度と量を調整する
水中に栄養がたまる主な原因は「金魚の餌の食べ残し」と「フン」なので、餌やりの頻度と量を調整するのも効果的です。
必要以上に餌やりをするとグリーンウォーターになりやすいため、「1日2回、2~3分で食べ終わる量」を目安にしましょう。
金魚の餌やりについては、こちらの記事をご覧ください。
≫金魚の餌やりは1日何回がベスト?餌の頻度・量と与える時間帯について【季節で変わる】
水草を入れる
水草を入れることで、水中の栄養を吸収させます。
ただ、金魚は水草を食べてしまうため、
- マツモ
- アナカリス
- ホテイアオイ
- アマゾンフロッグビット
といった繁殖力が高く、食べつくされにくい種類が向いています。
金魚におすすめの水草は、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫金魚におすすめの水草9選!繁殖力が高い&食べられない種類選びが重要
底砂を敷く
底砂には水を浄化する効果があるので、水中に栄養がたまるペースが遅くなります。
ただ、金魚は底砂をつついて粒を潰してしまう習性があるので、「大磯砂」や「麦飯石」といった砂利タイプが向いています。
金魚におすすめの底砂については、こちらの記事をご覧ください。
≫金魚水槽におすすめの底砂7選!砂利・砂・ソイルの選び方と相性
日光ではなく照明で管理する
室内飼育では、できるだけ日光を当てず照明で管理します。
窓際など日光が当たりやすい場所に水槽を置くと、光量が強いことで植物プランクトンが増殖しやすいのはもちろん、
- コケの発生
- 水温の急上昇
- 天気による日照時間のバラつき
など、飼育環境が不安定になるためです。日光であれば、照明代や電気代はかかりませんが、デメリットが目立つためおすすめしません。
最近は、安価で省エネ・長寿命なLED照明も多いです。照明とはいえ、長時間使うとグリーンウォーターになることがあるため、「照明時間は8時間ほど」がおすすめです。
金魚水槽におすすめの照明については、こちらの記事をご覧ください。
≫金魚水槽におすすめの照明3選!金魚に照明が必要な理由と選び方を解説
【屋外飼育の場合】すだれを使って日照時間を調節する
屋外飼育では日光で管理しますが、照明のようにスイッチで点灯・消灯できないので、「すだれ」を使って調節します。
飼育容器にすだれを被せて、日照時間を8時間ほどにしましょう。ただ、金魚は日光を浴びることで体格や体色が良くなるので、8時間以下にするのはおすすめしません。
≫【夏の金魚飼育】金魚水槽の暑さ対策12選!高水温や酸欠で弱らせない方法
ろ過フィルターを設置する
ろ過フィルターを設置すると、ろ過能力が上がり水中に栄養がたまりづらくなるため、グリーンウォーターになりにくいです。
金魚の室内飼育では、
- 上部式フィルター
- 外掛け式フィルター
- 投げ込み式フィルター
といった種類が扱いやすくおすすめで、水槽の大きさや金魚の飼育数によって使い分けます。
注意点としては、屋外飼育では電源の確保が難しいことに加え雨の影響もあるため、基本的にろ過フィルターは設置できません。
ただ、「投げ込み式フィルター」であれば使用できる場合があります。
- 雨が吹き込まない電源付近にエアーポンプを設置する
- エアーポンプにソフトチューブを接続して飼育容器まで届かせる
- ソフトチューブと投げ込み式フィルターを接続する
電源の位置によっては長いソフトチューブを使うことになりますが、5m前後でも400円ほどです。
金魚におすすめのろ過フィルターは、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫金魚水槽におすすめのろ過フィルター8選!選び方と種類ごとの特徴
まとめ:金魚水槽・飼育容器の水が緑色になる「グリーンウォーター」の原因と対処法
今回は、金魚水槽や飼育容器の水が緑になる「グリーンウォーター」の原因と対処法をご紹介しました。
グリーンウォーターに含まれる植物プランクトンは金魚の餌になったり、色揚げ効果があったりするものの、金魚が観察しづらくなるので観賞性を重視するなら不向きです。
植物プランクトンは、「日光」と「栄養」をもとに増殖するので、
- 水換えや掃除の頻度を高くする
- 餌やりの頻度と量を調整する
- 水草を入れて栄養を吸収させる
- 底砂を敷いて栄養をたまりづらくする
- 照明とすだれを使って照明・日照時間を管理する
- ろ過フィルターを設置してろ過能力を高める
といった方法で、対策・予防できます。1つの方法だけでは透明な水にならない場合は、いくつかの方法を併用する方が効果的です。
透明な水で金魚を飼育したり観察したりしたい際に、ぜひ実践してみてください。