ドジョウはアクアショップはもちろん、ペットショップやホームセンターで見かけたり、川で捕まえたりなど、とても身近な魚です。
底のほうで餌をついばむように食べる仕草と愛嬌のある表情から飼いたくなる人は珍しくありません。
とはいえ、いざ飼うことが決まると、
- 普通の水槽で飼えるの?大きさはどのぐらい必要?
- 餌はなにをあげたらいい?
- ドジョウと一緒に飼育できる魚はいる?
といった疑問が浮かぶことも多いのではないでしょうか。
今回は、おすすめの餌や水槽・混泳相手の選び方をふまえて、ドジョウの飼い方をご紹介します。
ドジョウの飼育環境がわかると、餌を食べなかったり、体調をくずしたりなど、飼育での失敗を防ぐことが可能です。
目次
ドジョウの特徴と生態・寿命・種類について
ドジョウの特徴と生態をご紹介します。
体長は水槽の大きさを選ぶときに重要ですし、食性は餌選び、気性は混泳の向き不向きに関係します。
この後のドジョウの飼い方に直結する内容なので、参考にしてみてください。
特徴と生態・寿命
ドジョウはコイ目ドジョウ科の魚で、一生を淡水で過ごす淡水魚です。
他のドジョウと区別して、「マドジョウ」と呼ばれることもあります。
大きさは5~10cm程度が多く、大きいものでは15cm近いサイズに成長します。
食性はなんでも食べる雑食性です。イトミミズやアカムシなど、底に沈んでいるものを好んで捕食します。雑食性といっても温和な性格をしているため、他の魚を襲うことはありません。
寿命は5~10年程度で、それ以上生きる個体もいます。
全国的に分布しているので、水路や田んぼ・湿地など、ドジョウが好む砂や泥があれば身近な水辺で見かけることも少なくありません。
飼いやすいドジョウの種類
ドジョウといっても種類があります。
- ドジョウ(マドジョウ)
- シマドジョウ
- ホトケドジョウ
- ナガレホトケドジョウ
- フクドジョウ
今回ご紹介するのは1番飼いやすいドジョウ(マドジョウ)ですが、シマドジョウも同じ飼い方で飼育することが可能です。
その他の種類は高水温に弱いため、飼育するなら水槽用クーラーが必要になります。
初期費用がかかることを考えると飼育の難易度が少し高い種類です。
初心者の方は、飼いやすいドジョウ(マドジョウ)、もしくはシマドジョウをおすすめします。
≫飼いやすい魚10選!アクアリウム初心者におすすめの種類と飼育方法を大公開
ドジョウの飼い方 | 飼育するために必要なもの
ここからは、ドジョウの飼い方を順番に解説していきます。
はじめに、ドジョウを飼育するために必要なものをご紹介します。
飼うために用意するものは次の4つです。
- 水槽
- ろ過フィルター
- 底砂
- 照明
飼育機材の選び方をふまえて、ご紹介します。
「水槽や飼育機材選びが面倒」という方は、一式セットになった水槽セットもおすすめです。
ドジョウを含む川魚の飼育方法は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
≫川魚の飼育に必要なものと飼育用品の選び方!捕まえた魚を飼うための必需品
※照明と底砂は別途購入する必要があります。
水槽は30cm以上!おすすめは60cm
ドジョウは小さいうえに泳ぎ回る魚ではないため、30cm水槽で5匹ほど飼育できます。
あくまでドジョウ単体を飼育する場合なので、他の小型魚を一緒に飼育するなら2~3匹にとどめて、他の種類を2~3匹入れましょう。
30cm水槽でも十分飼育できますが、おすすめは60cm水槽です。
水量の少ない小型水槽はどうしても水が汚れやすいため、水換えの頻度も高くなりがちです。60cm水槽なら、水換えや掃除の頻度を抑えられるうえに、十分なスペースがあるので、より多くの魚と一緒に飼うことができまます。
ドジョウ単体なら15~20匹、その他の魚も入れるなら10匹前後は飼育可能です。
もちろん、より大型の水槽で飼育することもできますが費用がかかるため、よっぽど力を入れて飼育したい場合にのみおすすめします。
水槽の設置方法や立ち上げ方は、こちらの記事をご覧ください。
≫川魚水槽の立ち上げ方を9つの手順で解説【水槽の設置から餌やりまで】
水槽のフタを用意する
ドジョウは水槽から飛び出すことがとても多いので、水槽のフタは必須アイテムです。
水槽の大きさによってフタも変わるため、入手する際はよく確認するようにしましょう。
ちょっとした隙間から飛び出してしまうことも少なくないので、フタの穴に物を置いたり、スポンジを詰めたりして、ドジョウが出ない工夫をすることをおすすめします。
ろ過フィルターは投げ込み式・上部式フィルター
ろ過フィルターは扱いやすく設置が簡単な投げ込み式フィルターや上部フィルターがおすすめです。
投げ込み式フィルターは水槽に入れるだけなので、設置が簡単です。
ろ過能力が高いわけではないため、小型水槽で少数の魚を飼育する場合に向いています。
30cmなどの小型水槽でドジョウを2~3匹、小型魚を1~2匹飼育するなら投げ込み式フィルターをおすすめします。
上部フィルターはろ過能力が高いので、ドジョウをたくさん飼ったり、その他の魚と混泳させたりするときに最適です。
また、60cm水槽の場合は水量が多いことから、上部フィルターのろ過能力と水を循環させる力が向いています。
底砂は目の細かいタイプ
ドジョウは底砂に潜る習性があるので、底砂を敷いてあげると安心します。
選び方としては、潜るときに傷付きにくい角がない底砂を選びましょう。また、粒が小さければ小さいほど潜りやすいです。
ドジョウにおすすめの底砂は、次の4つです。
- 大磯砂
- 田砂
- 川砂
- 玉砂利
大磯砂はアクアリウムでは有名な底砂で、ドジョウにも向いています。
さまざまな魚と相性がよいため、他の魚と一緒に飼う場合にもよいでしょう。粒の大きさは、細目がおすすめです。
田砂と川砂はドジョウが生息している場所に近いものなので、相性は抜群です。
見た目もドジョウとよく合います。
玉砂利は大磯砂と同じように使うことができますが、粒が大きいものが多いです。潜りやすいよう粒の小さい種類を選びましょう。
色合いがやや暗いので、メダカや金魚といった混泳魚の色をきれいに見せたい場合におすすめです。
- 色が暗い底砂を敷くと魚の色が際立つ
- 魚には周囲の環境によって体色を変える「保護色」という機能があります。黒い底砂を敷くと体色が際立ち、白い底砂ではぼんやりとした体色になります。
照明は一般的な観賞魚用で十分
照明は、一般的な観賞魚用のもので十分です。
とはいえ、照明がないとドジョウのバイオリズム(寝たり起きたりするリズム)がくずれてしまうため、水槽の大きさに合ったものを1つは用意しておきましょう。
水草は抜いてしまう可能性あり
ドジョウは底砂に潜る習性があるため、植え込むタイプの水草は掘り起こしてしまうことがあります。
ドジョウ水槽に水草を入れるなら、流木に活着させたアヌビアスナナやウィローモス、もしくは植えなくても水面に浮かせて育成できるマツモやアナカリスといった種類がおすすめです。
どの水草も丈夫で簡単に育成することができます。
ドジョウの餌は沈むタイプがベスト!他魚の食べ残しも食べる
ドジョウは、底にいながら砂や土をついばむようにして餌を食べる魚です。
餌を選ぶなら、浮くものよりも沈むタイプを選びましょう。口が大きいわけではないので、粒が小さいもののほうが食べやすいです。
人工飼料は栄養バランスを考慮して作られているため、これ1つで飼育できます。
冷凍アカムシやイトミミズも大好きですが栄養が偏るので、おやつ程度に与えることをおすすめします。
また、他の魚の食べ残しも食べるので、混泳魚に餌を与えている場合は餌の量を少し少なめに調整しましょう。
ドジョウに最適な水質と水温
ドジョウは適応できる水質や水温の幅が広い魚です。
飼いやすい魚といわれる理由の1つは、この適応力の高さです。
水質は弱酸性~弱アルカリ性 | 定期的な水換えで管理
水質は弱酸性~弱アルカリ性であれば、問題なく飼育できます。
pHでは、6.5~7.3程度です。とはいえ丈夫なので、この範囲から少し外れても体調をくずしてしまうことは滅多にありません。
ドジョウを入手して水槽に入れるときは、急な水質の変化によるショック症状(pHショック)を防ぐために「水合わせ」するようにしてください。
水合わせの方法は、こちらの記事をご覧ください。
≫【熱帯魚やメダカ】簡単で魚にやさしい水合わせ方法!pHショックの危険性も解説
水温は5~30℃ | 最適は20~28℃
ドジョウは日本に生息しているぐらいなので、水温5~30℃の範囲で飼育できます。
最適は20~28℃です。
また、30℃を超える日がつづくと消耗して弱ってしまう可能性があります。
連日30℃を超えそうな場合は、水槽用冷却ファンを使用して水温を下げるようにしましょう。製品にもよりますが、3~4℃下げる効果が期待できます。
水槽用冷却ファンを設置すると隙間ができやすいため、ネットをかぶせるなどして飛び出し対策するようにしてください。
ドジョウの混泳相手について
ドジョウは温和な性格をしているので、混泳(他の魚と一緒に飼うこと)向きの魚です。
とはいえ、ドジョウを食べる危険があったり、大きすぎておびえさせて(ストレスを与えて)しまったりする肉食魚や中~大型魚と混泳させることはできません。
ここでは、ドジョウの混泳相手としておすすめの生体、
- 淡水魚
- 熱帯魚
- エビや貝
この3種類をご紹介するので、ドジョウと一緒に飼える生体をお探しの方は目を通してみてください。
淡水魚
日本に生息している日本淡水魚の多くは、ドジョウと混泳させることができます。
- メダカ
- 金魚
- カワムツ
- オイカワ
- ヨシノボリ
- タナゴ
- その他のドジョウ
この他にも肉食性ではなく、30cm以上に成長しない魚であれば一緒に飼うことは難しくありません。
一方でおすすめしないのは、
- ナマズ
- ウナギ
- ライギョ
- コイの成魚
といった魚種です。
オヤニラミは肉食性ですが、ドジョウの成魚であれば混泳させることもできます。とはいえ、個体差があるので絶対に成功するわけではありません。
≫メダカの飼い方を1から10まで完全解説!卵・稚魚・成魚の飼育環境から繁殖方法まで大公開します
≫金魚水槽の立ち上げ方と作り方 | 水槽設置から金魚を泳がせる1~12の詳しい手順
熱帯魚
ドジョウと熱帯魚の混泳はイメージしにくいかもしれませんが、水槽用ヒーターで水温を26℃前後に調節すれば可能です。
おすすめは、次の小型熱帯魚です。
- グッピー
- アカヒレ
- プラティ
- ネオンテトラ
- ラスボラ
- エンゼルフィッシュ
この他の魚種でも小~中型の種類であれば基本的に混泳できます。
コリドラスも混泳できないことはありませんが、遊泳層(泳ぐ水深)がかぶるため、餌が行き渡りにくいことがあります。
ドジョウは水草を抜いてしまうので、水草水槽とは相性がよくありません。流木に活着させたり、浮かせて育成できる水草を選んだりして工夫しましょう。
≫グッピーの飼い方を完全解説!飼育に必要なものと餌・混泳・繁殖方法のすべて
≫ネオンテトラの飼い方とベストな製品選び!水槽サイズ・餌・混泳相手の選び方
エビや貝
ドジョウは、エビや貝を攻撃することがないため一緒に飼うことができます。
混泳相手としておすすめのエビや貝は、次の4種類です。
- ヤマトヌマエビ
- ミナミヌマエビ
- タニシ
- レッドラムズホーン
どれも水槽に生えたコケを食べてくれるので、お掃除生体としてもおすすめです。
この4種類については、こちらのメダカの記事で詳しく解説しています。
≫メダカと一緒に飼える魚・エビ・貝15種類!混泳しやすい生き物の特徴
ドジョウは自分で捕まえて飼育できる
ドジョウは通販やアクアショップで入手可能ですが、身近な水辺に生息しているので、自分で捕まえて飼育することもできます。
- 泥や砂がたまった水路
- 流れの緩やかな河川の岸際
- 田んぼや湿地
といった場所があれば簡単に捕まえることができます。
網1本で挑戦できるので、興味がある方は挑戦してみてください。
ドジョウの捕まえ方は、こちらの記事で動画付きで解説しています。
≫ドジョウをガサガサで捕まえる!網1本で捕獲する方法とおすすめの生息場所
≫シマドジョウを捕まえるために知っておきたいガサガサの方法と場所選びのコツ
まとめ:ドジョウの飼い方のすべて | 失敗しない餌・水槽・混泳相手の選び方
今回は、おすすめの餌や水槽・混泳相手の選び方をふまえて、ドジョウの飼い方をご紹介しました。
ドジョウは丈夫で飼いやすいため、アクアリウム初心者の方におすすめの魚です。性格が温和なうえに他の魚の食べ残しも食べてくれるので、一緒に飼う混泳相手としても人気があります。
持ち前の丈夫さで飼育環境に気を遣わなくても飼育できますが、体調不良になりにくかったり、長生きしたりなどするので、ドジョウに合わせた飼育機材や水質・水温を整えてあげましょう。